くしゃみしたらヘッドホンはずれた
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
三池祭が終わったので、他の映画について色々。
つってもこれは今日やっと観たもの。上映中もずっと観たかったんだけど、残念ながら機を逃し続け、さらにレンタル屋に並んでからもしばらく意図的に機を逃し続け、新作のラベルが外れて漸く手に取ったという まあ要するに私がケチだという話です(だって新作高いもん)。
で、あらすじ。
落ち目のアクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダム(本人)。48歳になった今ではアクションも思うように行かず、年下の映画監督からは全く敬意を払われず、私生活では離婚した妻と娘の養育権を取り合っているが、相手方の弁護士には彼が出演した映画のDVDを並べられ、「こんな非人道的な映画にばかり出ている男に子どもを育てる資格など無い!」と攻撃される。そんなある日、弁護士から「小切手が不渡りになった。今日の昼までに振込みが無かった場合、僕は君の弁護から降りる」と言われたヴァン・ダムは、慌てて金を下ろす為郵便局に入る。そこに強盗が、人質を取って立てこもっているとはつゆ知らず…
実はジャン=クロード・ヴァン・ダムの出演している映画を、本作以外1本も観たことが無い。
本人についても、引田天功と噂があった人だよね?ぐらいのイメージ。全くファンではない。
それでもこの映画の題名と軽いあらすじを聞いただけで「な、なんて面白そうなんだ」と興奮してしまったのは、ひとえに本人=役柄というメタ的な面白さと、ヴァン・ダムという役者の「何か知らんけど多分凄く強いってだけで俳優としては相当つぶしの効かない人」という分かりやすいイメージ、それとあらすじを聞いただけで大体どうなるか分かってしまう展開の単純さが、非常にデフォルメされたヴァン・ダムというキャラクター性にぴったりとフィットしていたからだと思う。落ち目だけど強いアクション俳優が、実生活で強盗騒ぎに巻き込まれる。
こ、これは間違いなく映画的名誉挽回フラグ!
落ち目のヴァン・ダム→強盗倒す→人気復活
言ってみれば「グラン・トリノ」のような。「レスラー」のような。落ちぶれた男たちが、下り坂の途中でふいと火を入れられ再び燃えたぎる。みたいなそういう展開だろう間違いなく。と思って観る訳ですよ。普通そうでしょう。
ところがそうはならないんですなあ。
ヴァン・ダムが自分自身に対して極めて客観的な視線を持っていることは確かである。強盗一味に映画マニアがいるんだけど、その男と交わす会話が完全に自虐ネタ。
「次回作、ネットで見たぜ。紫の何とかってやつ。あれはいつ公開なんだ?」
「いや、あれはなしになった。主演を他の役者に取られたんだ」
「マジかよ!そいつ誰だ?」
「(スティーブン・)セガール」
「…あー…でもあんな奴よりあんたのが100倍良いのに」
「仕方ない。あいつは今回ポニーテールを切ったらしいからな」
セガールのポニーテールがやけに強調されていて笑った。
ある程度ヴァン・ダムのファンであるはずの男が次回作の題名を覚えていないというところも自虐的で良い。ヴァン・ダムという役者に対して世の中が持っている興味の薄さを絶妙に表現している。
「ジョン・ウーは恩知らずだよな。無名の時はあんたが映画に出て盛り上げてやったのに、売れたとたんあんたを起用しなくなった。あんたがいなけりゃ、あいつ今もきっと香港でハト撮ってたぜ!」
「いや…しかし「フェイス/オフ」は傑作だった」
「それにもあんたを起用しなかったじゃないか」
なんて会話もありました。ハトwwwwwwwwwwwまたハトに突っ込まれてるジョン・ウーwwww
しかし、ここまでヴァン・ダムというキャラをデフォルメしておきながら、映画の途中で突然ヴァン・ダムは劇中から抜け出てナレーションを挿入する。不意に舞台は郵便局内部から、後ろにライトや小道具が無造作に置かれたスタジオに変わる。そこでヴァン・ダムは、映画を見ている観客に向けて「これは映画ではない」と宣言するのだ。
そして強盗事件は、嘘のようにあっけなく収束する。ヴァンダムは大した活躍もしないまま、予想外の展開で物語は進む。
これが仮に、ヴァン・ダムが強盗一味を華麗に倒し、人質を解放し、そして野次馬の前で両手を上げて歓声を一身に受ける、そんな終わり方をする映画だったら、それはおそらく観客が望んだ結末だったろうし、映画的なクライマックスをきちんと持った、非常に分かりやすいエンターテイメント作品となっていたことだろう。
しかしヴァン・ダムはそうしない。それをしてしまったら、ジャン=クロード・ヴァン・ダムという役者は終わってしまうからだ。綺麗なエンディングを持ち得てしまうからだ。
ヴァン・ダムは最後で、自分自身が映画の中のキャラクターとして完結してしまうことを拒否する。
それはまだヴァン・ダムが、ひとりの俳優として終わってはいないと宣言することと同義である。
「グラン・トリノ」がある意味でクリント・イーストウッドという役者の遺言であったのとは対照的に。
「レスラー」で、ミッキー・ロークが華麗なカムバックを声高に宣言したのとは違って。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムはまだ終わっちゃいないぜと、俺はまだ此処にいるんだぜと。
そう言いたかったのではないかなと私は思う。
まあさっきも言ったように私この人の作品1本も観てないんだけどね。
予想していたような、観る前に期待していたような、単純なメタフィクションストーリーではなかった。寧ろメタフィクションという様相を呈したフィクショナルな物語でありながら、リアルなジャン=クロード=ヴァン・ダムという俳優の声明であり、覚悟表明であった。私のような、アクションヒーロー全般にまったく関心を持っていない観客をして、彼に対して少なからぬ興味を持たせる そのきっかけとなるような作品だった。
この作品が彼にとって、俳優としての新たな世界を切り開く起爆剤となることを祈る。
願わくば次回作の主役を、セガールと競わずに済むように。
PR
来ましたでぇ!
思いつきと自分の無計画さと勢いから始まった三池崇史監督作品大プッシュ祭(正式名称)。
今から思い起こせば色々な事があった気もしたがそんなことはなかったぜ。
ただ観た映画についてだらだら喋ってただけだ。そしてそれはいつものことだ。
しかし一応始めたものは終わらせねばならんというのも道理と言えば道理。
三池祭、いよいよオオトリとなりました。しんがりを務めるのは押しも押されぬ国際的映画監督三池崇史の代表作
オーディション!!
(あらすじのようなもの)
妻を亡くして数年が経ち、一人息子も高校生。仕事もそこそこ順調で、休みの日には息子と釣りに出かけるくらい親子関係も上々。そんなある日、息子に「親父もそろそろ嫁さんもらえば?」と言われ、再婚を考え始める主人公・青山(石橋凌)。しかしそう簡単に相手も見つからず、久し振りに会った、映画の制作会社で働く友人の吉川(國村隼)にぽつぽつとそんな話をする。
「どっかに良い女が隠れていないかなあ…この年になって失敗するのはしんどい。だから出来るだけいろんな女に会って、理想の女を選んでみたいんだ。…やっぱり無理かな。」
「いいや 任せろ。ひとつだけ方法がある。…オーディションだよ」
吉川が言うには、今度作る新しい映画の主人公を選ぶオーディションでついでに青山の再婚相手を探せば良い、とのこと。そんな上手い話が…と思っていた青山だが、会場でまさに理想の女性・麻美(椎名英姫)と出会ってすぐに彼女に夢中になる。順調な交際を経てついに彼女にプロポーズする青山。しかし彼女には、青山が知らないもう一つの顔があった……
とまあこんな具合。
言ってなかったかもしれないが、この映画ゴリッゴリのホラーなので、まあもう一つの顔ってのはそういう顔なんだけど そこらへんは実際観ていただくとして。
この映画は、まあホラーはホラーなんだけど 重要なのは男にとってのホラーであること。
もっと言えば、男たちによって虐げられてきた女の復讐劇。という視点でも見れる。まあ見れなくもない。見てもそう間違いではないんじゃないかな?(弱気)という作品であるということだ。
そういう意味では、女性にとってはある程度(あくまである程度!)スカッとするところもあるんじゃないかと思う。
そもそもが再婚相手をオーディションで選ぶ、という主人公の行動が、人として非難されるべきものだ。三池監督は男が女を一方的に(しかもそのオーディションの趣旨とは全く違う理由で集まっている女性を勝手に)取捨選択すること、加えて青山や吉川の提示する理想の女性像そのものが女性蔑視であるという批判を海外の男女同権主義者から受けている。
(それにしても人間的に自立した女性を見つける方法が、2・3の質問で一人の人間を判断した上で、男の視点から一方的に審査し識別するオーディションである、というのも皮肉である。選ばれている時点で、その女性は自立した人間として扱われてはいない)
しかし監督の視線は寧ろそれらの人達に寄ったものであると言え、まさに青山や吉川のような男たち、彼らのような価値観を持って女性を見ている男たちを批判するつもりでこの映画を撮ったと監督自身主張している。
監督の意思を意識して観ると、作品のあちこちに 「男たちのそういった価値観」が見え隠れしている。
最も露骨なのが、実際のオーディションで吉川が女性たちに向ける質問だろう。
以下に例を挙げる。
お父さんの職業は?
好きでもない男に抱かれたことある?
ドラッグに興味ある?
尊敬する女優は?
風俗で働こうと思った事は?
君にとって男とは?
タルコフスキーの映画見たことある?
ラブシーン大丈夫?
霊感強い方?
嫌いな男ってどんな男?
これらの質問を、吉川は非常にどうでもよさそうに、興味なさげに彼女たちへ繰り出していく。
さらに青山は、オーディションに応募してきた女性たちの履歴書を前にして、「そこから30人に絞れ」と言った吉川に対し「こんなに悩んだの、初めて車を買った時以来だよ」と口にしている。これは青山という男がどのように女を見ているかが端的に表れたセリフと言える。ちなみにこのシーンの少し前で、吉川はこんな発言をしている。
「書類審査をパスして、二次審査を落とされる そういうなかに掘り出し物が隠れてる。1000人応募してくれば10人くらいいるかな…それこそ、連れて歩きゃ周りの男が振り返るような、頭も育ちも良くて素直で、個人的な訓練ができてる 息子の嫁にしたいような女がさ」
先述の「女性蔑視だ」という批判を受けた青山・吉川の理想の女性像とはおそらくこの発言の事であろう。
「車」「連れて歩きゃ周りの男が振り返る」というあたりを合わせて考えると非常に味わい深いものがある。腐ってるなあ、と思う反面、まあ多かれ少なかれこういう風に考えてるんだろうな世のおっさんらは。とも思う(しかし或いはこの発想も男性蔑視的かもしれない)。
こういった要素に対して、むしろ不思議なのは 批判が入ったのはイギリスやアメリカなどの海外ばかりであり、日本国内では「非常に男尊女卑的な登場人物の思想」についての突っ込みはあまり見られない点である。もっとも、きちんと文献や資料に当たってはいないし、参考にしてるのはオンラインでの評価の声なので、既に「オーディション」における女性蔑視的な視点についてはしかるべきところで誰かが言ってるのかもしれないけど、あくまで一般の映画ファン@日本の間では、もちろん優れたホラームービーであるという一定の評価は得ているようだが、海外でこの作品が高評価を得ている事に関しては、寧ろ不思議そうな声が高い。
日本人から見ると、このあまりに日常に馴染んだ女性蔑視的価値観は、言われないとあまりぴんと来ないのかもしれない。
そこらへんを考えながら観ていると、何だろうか、この映画はたして本当にホラーか?という気がしないでもないのは私が女であるという事も勿論関与しているのだろうが、むしろこの作品の後半からの異常なテンションで繰り広げられる残虐非道な拷問の数々。この映画を伝説のホラームービーたらしめている衝撃の暴力描写には
世にあふれているどうしようもない腐った男たちを天下無双の女王様が華麗にお仕置きしちゃうよ(はあと)
といった裏テーマも見えてくるようなこないような。そんな不思議な感覚に襲われるのである。
まあそういった妄想は置いといても、やはり単純なホラーとしても見逃せない演出はずばっと効いていて唸らされるし、物語が後半にさしかかるところで挿入される、青山の見る実際の出来事と想像の産物が混ぜ合わされて記憶として再構築されていくような悪夢が非常に効果的。その悪夢の中で青山は、見た事も無い筈の麻美の部屋で彼女にフェラチオをされかけるのだが 彼女が顔を上げるとそれが、自分を好いている職場の部下(一度だけ肉体関係を持った)に変わり、驚愕していると今度は息子が一度家に連れて来た女友達に変わる。そのシーンが素晴らしい。息子の彼女に性欲感じてやんの。うわーこのおっさん最悪。ま、性欲っていうか何て言うか、女という生き物に人格を求めてない感じ?目に入る女=ヤれるみたいな。そういう漠然とした男尊女卑感。このおっさんがごく自然に抱いてるおごりというか。ハーレム観とでも言おうか。女性が抱くハーレム願望より、男のそれって遥かに性欲処理的なイメージがある。女の考えるハーレムは「自分がモテる」という象徴のようなもんなんだけど。まどっちもどっちだけど。
さらにその夢の中で青山自身がオーディション用の椅子に座り、「なぜ再婚する気になったか」を語っているシーンがある。これも素晴らしい。「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」という言葉を思い出す。まさに絶妙。
原作は村上龍の「オーディション」。三池映画なのでさほど原作に忠実というわけではないだろうが、いかにもこういうテーマの小説は村上龍が書きそうだな。とも思う。村上龍と三池崇史の相性は、考えてみるとそう悪くもなさそうだ。露悪的な残酷描写を良く用いるところが似ている(そこだけとも言えるが)。ちなみに私は未読。
世にホラー映画は数あれど、何度か見直す余地のあるホラー映画というとかなり限られてくるのではないかと思う。そういう意味ではこの作品は、間違いなく1度観てびっくり。では終わらない、2度3度と観ることでいろんな側面を見ることのできる映画ではないかと。
とはいえもちろん1度目でドロップアウト。そう断言する権利もあるので、不快感を抱いた貴方は我慢せずその場で停止ボタンを押す事をお勧めする。何故ならその先にはさらに酷い展開が待っているから。
急降下を始めたら決して止まらないジェットコースター的残酷物語。しかし何処か爽快。何故か?
そりゃーまあ、私が女だからでしょうね。
ということで、世の女性たちよ お勧めです。
そして世の男性たち*よ、これ観て心底ぞっとしろ!超お勧めです!!
* つっても青山みたいな考え方してる男の人は最近あんまりいないだろうけど
レンタル版DVDが出ていないというまさかの事態なので、観たい人はDVDを買うか、レンタル屋さんでVHSを探すしかないのだ。ブルーレイ版がもうすぐ出るらしいので、それに乗じてレンタル版が出るかもしんない。
まあホラー映画って友達と一緒にわーきゃー言いながら観るのも楽しいし、買ってみても意外と良いかも。ちなみに私は買いましたよ。しかしブルーレイ出るならもうちょっと待てばよかったかな…
関連エントリ
→三池祭第一夜 「極道恐怖大劇場 牛頭」
→三池祭第二夜 「大阪最強伝説 喧嘩の花道」
→三池祭第三夜 「龍が如く 劇場版」
→三池祭第四夜 「 DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
例えば、貴方にとって、すっごい好きな映画があったとして、その映画を友達に勧めるとしたら、どんな風に伝えますか。
まあ、とりあえず好き嫌いがあるもんだから、有り体にどんな世界の話かぐらいは説明して、近未来だとか時代劇だとかラブコメだとか、あとは誰か有名な人が出てるなら教えてあげて、それから人が死ぬとかラブシーンあるとか腕が切り落とされてごろんと落ちるとか、人によってはクリティカルな要素のありなしを伝えて、
それ以外に何かありますかねえ。
ストーリーとか。
うーん…まあ…
あらすじとか。
…まあ言わなきゃしょうがないですよね…
あとは劇中のナイスなエピソードとか?
いや!何かそれは無理!
だってもったいないじゃん!
そんなん絶対実際に映画観るまで知らずにいた方が良い訳で。
というか本当ならあらすじも言いたくない。
せっかく映像で語られているものを、一行か二行の文章で明らかにするのは何か作り手に申し訳ないつか…
前情報はなるべく持たずに映画を観た方が良い。と思うんだけど、そもそも前情報が無ければその作品に興味を持つ事も無かったりするから難しいです。
なので今日は最大限に気を付けながら、程よく皆さま方の興味を惹けるようご紹介しようと思います…
調子に乗ると良いとこ全部説明しちゃいそうだから…三池祭第四夜は此方の作品を取り上げます。
「DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
この話はねえ…何てんですかね。ノスタルジックなファンタジーでもありながら、バイオレンスな任侠ドラマでもあるし。ヒューマンドラマだし、ひょっとしたらラブストーリーかもしれないし、青春ドラマかもしれませんなあ。
…いやいや、説明する気が無い訳では決して無いんですよ!
ただこの作品と向き合えば向き合うほど、こういうとりとめの無いことに…
あ、その前に忘れてましたがこの作品は一連の「DEAD.OR.ALIVEシリーズ」の2作目になります。このシリーズは哀川翔と竹内力が様々なシチュエーションで出逢い、ドラマを繰り広げるパラレルな連作で、一つ一つの話に繋がりは無いものの、共通のセリフがあったり、奇妙な一致があったり。
そんな連作で描かれるのは、何度となく出逢いぶつかり、そして消えてまた生まれ…を繰り返す二人の男達の因縁。いつの世に生まれても、どんな関係であっても、出逢う度に強いハウリングを起こす。
我々はそれにただ揺さぶられるだけで良いんです。良いんだと思うんですよ。
で、2の話。
舞台は現代の日本で、主人公はカタギじゃない、脛に傷持つ男達。人はめちゃめちゃ死にますが、舞台が舞台な上に暴力を笑いに昇華するのが三池映画のテーマの一つなんでこれはもうしょうがない。でも腕ごろんとかは無かった気がしますので安心してほしい。死ぬこた死ぬんだけど。
あと馬並二朗という男の死体に一部モザイクが(バレバレ)。
出演者は哀川翔、竹内力、遠藤憲二、青田典子、塚本晋也、田口トモロヲ。など。
要所要所に独特のキワモノ的三池演出が効いてはいますが、ストーリー全体としては非常にクラシカルな話です。
それぞれ、沢山人を殺して、沢山法に触れる事をして生きてきた同郷の男達が、組を裏切り追われて、同時に生まれ故郷の島に戻って来る。彼らは同じ孤児院の出身だった。そこの仲間で、今は島で漁師をしている男を訪ね、旧交を温めながら、彼らは束の間の休息に浸る。
一方、東京では彼らの行動が引き金となり、3勢力を巻き込んでの激しい銃撃戦が始まろうとしていた。
…ほんとはこれさえもあまり言いたくないんですけどこれ言わないと真剣にどんな映画か分かんないと思うので書きました…
どうですか。
そうですか。
んでねー!
今までも何度か書いたと思うんですが三池監督は子供を使うのがほんとに上手くて、この映画でも二人の子供時代が回想などで出てくるんだけどそこがほんとナイスなんですよ。
そこが良いから、大人になった主人公達にも観てる側としてぐんと共感が増すの。
大人三人で小学校に入って、がらんとした校庭に立った竹内力が
「…そうか 夏休みか…」
と呟くシーンではまさかの竹内力に胸キュン体験必至!
この映画の竹内力はほんとにかっこいい。
哀川翔は可愛い。
エンケンも良い男だ。
青田典子も最高だ。
あ、塚本晋也の怪演も相当ナイスッス。
…ほら調子に乗った…
(すげー長くなった)
とにかく何がもったいないってね。
こんな面白い映画を、観てる人があまりにも少ないって事ですよ!
三池監督だし~
ヤクザだし~
哀川翔だし~
痛そうだし~
TSUTAYAに無いし~
そんな理由で尻込みしてるそこの貴方!
或いはこの映画の存在を知らなかったそこの貴方!
(多分こっちが大多数だろう)
貴方達の限りある寿命のうちの、ほんの二時間、されど二時間を私に預けてくれませんか…
観て欲しい。そして感想を聞かせて欲しい!
いずれ出来る事ならDOA2感想オフでも開きたい(場所はフェリー上)。
三池祭でオススメする中でも一番力強く切実に!
オス!スメ!です!
とはいえ、レンタルDVD屋に置いてないという事実はいかんともしがたい。
とりあえず私が確認したところ、中目黒のツタヤと渋谷ツタヤにはあった筈。
地方の皆様には、こんな時こそのツタヤディスカスですよ!とオススメしておきます。
登録簡単でしかも最初の1ヶ月は無料!便利!
関連エントリ
→三池祭第一夜 「極道恐怖大劇場 牛頭」
→三池祭第二夜 「大阪最強伝説 喧嘩の花道」
→三池祭第三夜 「龍が如く 劇場版」
→三池祭第四夜 「 DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
→三池祭最終夜 「オーディション」
まあ、とりあえず好き嫌いがあるもんだから、有り体にどんな世界の話かぐらいは説明して、近未来だとか時代劇だとかラブコメだとか、あとは誰か有名な人が出てるなら教えてあげて、それから人が死ぬとかラブシーンあるとか腕が切り落とされてごろんと落ちるとか、人によってはクリティカルな要素のありなしを伝えて、
それ以外に何かありますかねえ。
ストーリーとか。
うーん…まあ…
あらすじとか。
…まあ言わなきゃしょうがないですよね…
あとは劇中のナイスなエピソードとか?
いや!何かそれは無理!
だってもったいないじゃん!
そんなん絶対実際に映画観るまで知らずにいた方が良い訳で。
というか本当ならあらすじも言いたくない。
せっかく映像で語られているものを、一行か二行の文章で明らかにするのは何か作り手に申し訳ないつか…
前情報はなるべく持たずに映画を観た方が良い。と思うんだけど、そもそも前情報が無ければその作品に興味を持つ事も無かったりするから難しいです。
なので今日は最大限に気を付けながら、程よく皆さま方の興味を惹けるようご紹介しようと思います…
調子に乗ると良いとこ全部説明しちゃいそうだから…三池祭第四夜は此方の作品を取り上げます。
「DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
この話はねえ…何てんですかね。ノスタルジックなファンタジーでもありながら、バイオレンスな任侠ドラマでもあるし。ヒューマンドラマだし、ひょっとしたらラブストーリーかもしれないし、青春ドラマかもしれませんなあ。
…いやいや、説明する気が無い訳では決して無いんですよ!
ただこの作品と向き合えば向き合うほど、こういうとりとめの無いことに…
あ、その前に忘れてましたがこの作品は一連の「DEAD.OR.ALIVEシリーズ」の2作目になります。このシリーズは哀川翔と竹内力が様々なシチュエーションで出逢い、ドラマを繰り広げるパラレルな連作で、一つ一つの話に繋がりは無いものの、共通のセリフがあったり、奇妙な一致があったり。
そんな連作で描かれるのは、何度となく出逢いぶつかり、そして消えてまた生まれ…を繰り返す二人の男達の因縁。いつの世に生まれても、どんな関係であっても、出逢う度に強いハウリングを起こす。
我々はそれにただ揺さぶられるだけで良いんです。良いんだと思うんですよ。
で、2の話。
舞台は現代の日本で、主人公はカタギじゃない、脛に傷持つ男達。人はめちゃめちゃ死にますが、舞台が舞台な上に暴力を笑いに昇華するのが三池映画のテーマの一つなんでこれはもうしょうがない。でも腕ごろんとかは無かった気がしますので安心してほしい。死ぬこた死ぬんだけど。
あと馬並二朗という男の死体に一部モザイクが(バレバレ)。
出演者は哀川翔、竹内力、遠藤憲二、青田典子、塚本晋也、田口トモロヲ。など。
要所要所に独特のキワモノ的三池演出が効いてはいますが、ストーリー全体としては非常にクラシカルな話です。
それぞれ、沢山人を殺して、沢山法に触れる事をして生きてきた同郷の男達が、組を裏切り追われて、同時に生まれ故郷の島に戻って来る。彼らは同じ孤児院の出身だった。そこの仲間で、今は島で漁師をしている男を訪ね、旧交を温めながら、彼らは束の間の休息に浸る。
一方、東京では彼らの行動が引き金となり、3勢力を巻き込んでの激しい銃撃戦が始まろうとしていた。
…ほんとはこれさえもあまり言いたくないんですけどこれ言わないと真剣にどんな映画か分かんないと思うので書きました…
どうですか。
そうですか。
んでねー!
今までも何度か書いたと思うんですが三池監督は子供を使うのがほんとに上手くて、この映画でも二人の子供時代が回想などで出てくるんだけどそこがほんとナイスなんですよ。
そこが良いから、大人になった主人公達にも観てる側としてぐんと共感が増すの。
大人三人で小学校に入って、がらんとした校庭に立った竹内力が
「…そうか 夏休みか…」
と呟くシーンではまさかの竹内力に胸キュン体験必至!
この映画の竹内力はほんとにかっこいい。
哀川翔は可愛い。
エンケンも良い男だ。
青田典子も最高だ。
あ、塚本晋也の怪演も相当ナイスッス。
…ほら調子に乗った…
(すげー長くなった)
とにかく何がもったいないってね。
こんな面白い映画を、観てる人があまりにも少ないって事ですよ!
三池監督だし~
ヤクザだし~
哀川翔だし~
痛そうだし~
TSUTAYAに無いし~
そんな理由で尻込みしてるそこの貴方!
或いはこの映画の存在を知らなかったそこの貴方!
(多分こっちが大多数だろう)
貴方達の限りある寿命のうちの、ほんの二時間、されど二時間を私に預けてくれませんか…
観て欲しい。そして感想を聞かせて欲しい!
いずれ出来る事ならDOA2感想オフでも開きたい(場所はフェリー上)。
三池祭でオススメする中でも一番力強く切実に!
オス!スメ!です!
とはいえ、レンタルDVD屋に置いてないという事実はいかんともしがたい。
とりあえず私が確認したところ、中目黒のツタヤと渋谷ツタヤにはあった筈。
地方の皆様には、こんな時こそのツタヤディスカスですよ!とオススメしておきます。
登録簡単でしかも最初の1ヶ月は無料!便利!
関連エントリ
→三池祭第一夜 「極道恐怖大劇場 牛頭」
→三池祭第二夜 「大阪最強伝説 喧嘩の花道」
→三池祭第三夜 「龍が如く 劇場版」
→三池祭第四夜 「 DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
→三池祭最終夜 「オーディション」
出来ない事はするな!
と「カムイ外伝」を観て思いました。
観た映画を一応の目安で星5つを満点として採点して手帳に残してるんだけど
(判断基準は結構いい加減)
その稚拙なCGとワイヤーアクションのワイヤーを消しました、みたいな人間の不自然な動きに苛々したので
今回記念すべき初・星・ゼロ!をつけさせていただきました。おわりがとおございます。
さて。
三池祭も折り返し地点です。
今回のお題は「龍が如く 劇場版」。
原作はセガのヤクザみたいな恰好してる人が作ったPS2用ゲームソフト。
私このゲーム全く知らないので、あらすじをウィキッペからコピッペ。
親友と愛する女のために親殺し(組長殺し)の罪をかぶり、懲役10年の刑を終えて神室町に戻ってきた主人公「桐生一馬」は母を捜す少女と出会う。その少女「遥」は、かつて行方不明となった100億円の鍵を握るといわれ、様々なヤクザ勢力に狙われていた。遥を守るために戦う桐生は、戦いの中で「人として生きることの意味」を見出すこととなる。
映画版はちょっと話違うんですが、まあ大方はこんな感じです。
馳星周がシナリオを担当したというゴリゴリのヤクザゲームの映画化で、監督はもちろん三池崇史という
「どんだけ歌舞伎町好きなんだよ」ドリームチームで制作されたこの映画。
いやー何度観ても楽しいですねえ。これ書く為に再び借りて観たんですがっていうか今観てるんですが、ストーリーとかそんなのはどうでも良くて、楽しいです。
書いてたら終わったのでもっかい最初から観よう。(ぽち)
このストーリーのどうでも良さには覚えがあると思ったら
脚本は「ヤッターマン」で組んだ十川誠志だって。
意外とこういう淡白な脚本との方が、アクの強い三池演出は相性が良いのかもしれない。
何が良いってまず、キャスティングが良いです。
メインの人達(北村一輝、岸谷五朗)ももちろんばっちりなんですが、脇に入れば入る程良い。
まず映画オリジナルのキャラで、馬鹿なカップル唯と悟を
塩谷瞬とサエコが演じてるんだけど、そのはまり具合が見事です。
あといつも思うんだけど、三池映画って地味に衣装が良い。
サエコの着てるキャミ可愛い。
んで、舞台は神室町という名のパラレル歌舞伎町ですから
当然キャバクラとかも出てくるわけですが
キャバ嬢の一人を演じているのが
山川恵梨佳。…山川恵梨佳て!
それから、結構ストーリーに関わってくるホスト役に
Mrチープ 加藤晴彦。
そして一筋縄じゃ行かない武器屋兼情報屋に
荒川良々。
常々テレビを見てて「ホストっぽいなー」とか「キャバ嬢っぽいなー」とか思っていた人たちがズバリキャスティングされていて(しかもある程度の意外性を持っていて)気持ちいい。
サエコはダルビッシュと結婚した時に初めて知った人で(そん時はまだこの映画知らなかった)
代表作としていつも「バックダンサーズ!」を挙げられていたんだけど、何でどのチャンネルも「龍が如く」に出ていた事を言わなかったんだろう?バカ女の役だったからだろうか。
でもこの役、間違いなくサエコのハマり役だと思うんだけどなー。
バカはバカだけど相当キュートでしたよ。唯。
塩谷瞬は「パッチギ!」の主役以降あまり映画やテレビで観ないなあ。
コンビニでのヤクザとの掛け合いが良かった。
荒川良々の情報屋も何て言うかバッチリですね。
何考えてるか分からない不気味さが良く出てます。
それと小物遊び。今回も飛ばしてます。
岸谷五朗演じる真島が根城にしているバッティングセンターの入口には、真島がいるかいないかを示す看板がぶら下がっていて
真島がいる時は
「いてはります」
いない時は
「すぐに戻らはります」
何じゃそら!ナイス過ぎる。
それから劇中で馬鹿なカップルが買い物に行くのが
元祖激安「サンチョ・ナンテ」。
これは安さの殿堂「ドン・キホーテ」にあやかったギャグですね。
(説明すんのも野暮だけど、ドン・キホーテの従者がサンチョで愛馬がロシナンテ)
あと韓国人スナイパーが仲間と交わす合言葉が
「キム・ギドク」「受取人不明」。
ワラタ。
三池映画の遊び心が大好きな人はこんな小ネタの大盤振る舞いだけで大満足?かも?ですね?
まあ、あとこれは原作の功績ですけど
強面のイケメン(ヤクザ)が幼女を連れて歩いてるって時点でもう何つーか
萌え…じゃないですか…
しかも幼女の後ろにはイヌがくっついてきているという可愛いものコンボ。
恐ろしい!
しかしこういう「いいねー」みたいなニュアンスって男女共通なんでしょうかね。
ひょっとして女にしか通じないのか?
おっきくて強い怖い顔の人がちっちゃくて可愛い生き物に振り回される、っていうこの…
いやきっと男性にもキュンとくるポイントだと私は思う。思いこむ事にする。
いわばテンプレではありますが、テンプレのテンプレたる魅力を存分に発揮させるのも作り手の力量ではないかと思うわけです。
そしてこの魅力を引き出している一番の功労者はやっぱり、北村一輝ではないかと…
ヤクザを演じる為に生まれてきたような顔だ…
「完成度として、完結して1本で価値があるかはともかく、日本映画の可能性は感じてもらえるんじゃないか」と監督がメイキングで言ってる通り、非常にパワーを持った作品に仕上がっております。
映画の持つ可能性っていう言い方は漠然としてるけども、それは例えば出ている俳優の持つ可能性だったり、物語としての可能性(続編が出るとか出ないとか、そういうことも含め)、そしてこの映画を観る側の可能性、も勿論ありますよね。これを観た人に何かを残すような、煽るような、そういう色々が詰まっている玩具箱みたいな映画。
評価できる映画かどうかは、割とどうでも良い類の作品だと思う。
多分単純に好きか嫌いかしかなくて、私はかなり好き。
三池崇史の世界を覗くための第一歩としては、ちょうど良いんじゃないかと思います。
軽い気持ちで、オススメ!!
関連エントリ
→三池祭第一夜 「極道恐怖大劇場 牛頭」
→三池祭第二夜 「大阪最強伝説 喧嘩の花道」
→三池祭第三夜 「龍が如く 劇場版」
→三池祭第四夜 「 DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
→三池祭最終夜 「オーディション」
風呂で三池崇史監督作品「D.O.A 2」を再見。やっぱ良いわぁーこの映画。と再確認しますた。三池崇史のこういう作品ってほんともっと評価されて良いよなあと思う。これもあみだの中に入ってますのでいずれ紹介すると思います。想像するだけでたぎる!やったるでぇ!
んで今日は三池祭第二夜。取り上げますのは「大阪最強伝説 喧嘩の花道」です。
原作はスポーツジャーナリストの二宮清純が書いた同名ノンフィクション。
プロレスラーの前田日明と、ボクサーの赤木英和たちの高校時代のエピソードをベースに作られたビデオシリーズの記念すべき第一作です。ちなみに5本くらい作られたらしいが、1作目以降は違う人が監督してるらしいので観ていない。
格闘技ファンからすれば、伝説の2人をモデルにしている(しかし実際の出来事とはおそらく大幅に異なるであろう)という点だけでも「買いですぜ!」てなもんらしいけども、私そこらへんは詳しくないのであまり分かりません。でもそこらへんを抜きにしても、この作品は間違いなく一級品の青春映画です。
浪花西高の玉井カズヨシ(やべきょうすけ)、天南高の浜田タケシ(北村一輝)。彼らは大阪でやたら喧嘩の強い男たちとして名を馳せていた。不良全盛期の大阪で、当然ぶつかる筈だった彼ら2人は、しかし運命に翻弄されて何度も何度も そう広くない小さな街で擦れ違い続ける。カズヨシはいつもつるんでるトシオとリツコとの三角関係に巻き込まれ、トシオは恋と自身の家庭の事情に苦しみ、タケシは上手く行かない父親との関係に苛立ち…青春の苦しさから逃げるように、自分一人ではどうにもできない苛々を爆発させるように、彼らは殴り合い、ぶつかりあい、何故なら彼らはそうする事でしか互いの、或いは自分の存在を確認出来ないからであって、そんな不器用な男たちの青春を暖かくコミカルに、時折物悲しく描き出した本作。なんですが。
もう何か…三池祭だ!なんつってノリノリでこれ書いてるんですが、書こうと思えば思うほど「いやこれ書くべきじゃねーな」なんて思えてきちゃうのは、間違いなくこの作品を観てもらうのが一番良いからなわけで。こんな駄文読んでる暇があったらみんなレンタル屋さんに走れば良いじゃない!!(元も子もない)
この映画は、持つ者と持たざる者をくっきりと描いています。持つ者はカズヨシ。両親はおらず、祖母と二人暮らし。夢はボクサー。トシオと一緒にラーメン屋でバイトをしながら喧嘩に明け暮れる毎日。
持たざる者がトシオ。妻に逃げられてから精神を病み、子どものようになってしまった父親と二人暮らしをしていて、喧嘩が強く学校でも人気者のカズヨシとは親友でありながら、彼に対してひっそりとしたコンプレックスを抱いている。クラスメートのリツコに恋をしているが、彼女の好きな人はカズヨシであることを知ってしまう。
この二人の人生を対比して描写するんだけど、私の中ではトシオが主役です。演じてる奥田智彦さんも非常に良いです。
オープニングシーンでは大阪の街中で、街頭テレビ中継に群がる人々のやりとりと、狭い路地を弟分と一緒に逃げているヤクザらしき男が交互に映される。やがてその男が広場に出ると、テレビの前に人だかりが出来てて、画面には東京で今から始まるらしい異種格闘技戦の会場が映し出されている。熱狂する観客の声に出迎えられ、入場する一人の男。その姿を見てヤクザの男が「カズヨシ!」と叫ぶ。
その男は、成長したトシオだった。
かつての親友だった男たちの片方はボクサーになり、もう片方はチンピラになって街頭で親友の試合を見守っている。
そして映画は、彼らが高校生だった時代に戻って語り始めるのである。彼らの運命が、いかに彼らの人生を分けたか。
もうこの展開だけで泣けそうです。
加えてその高校生活が、また何て爽やかで馬鹿馬鹿しくて眩しい事か。
そのセリフ一つ一つが本当に活き活きとしていて良い。
NAKA雅MURAという脚本家の仕事は見事に賛否両論で(まあこれは三池崇史も一緒だけど)、結構な駄作と評される映画(「どろろ」とか「ドラゴンヘッド」)にも携わっていたりして、手放しで絶賛出来るとは思わないんだけど、この日常にしっくりと馴染むようなやりとりとか台詞回しは文句無しに凄いと思う。
なおかつ随所でバシッバシッと泣ける台詞も仕込んで来るのが侮れない。
この映画ではタイヘイ夢路演じるカズヨシの祖母(この人間違いなく助演女優賞)が人生に迷うトシオに向ける一言が出色。
「まだまだや。生きてる限り、どっこい本番はこれからや。負けたらあかんでぇ、今おまえが考えてるもんと人生はちゃう。戦こうていけ!好青年!」
映画全体が暖かい、優しい視線に満ちている。
それはかつての自分を見るように登場人物を見ることが出来る人間にしか持ち得ない視線だ。
成り上がる者もいれば道を踏み外す者もいる。人生の半ばでどん底まで落ち込んでも、それはまだ人生とは違う。
運命に翻弄され、過去に振り回され、傷ついて落ち込んで、それでも戦う為に立ち上がった時に人生はようやく幕を開けるのである。
観終わった後、無駄にわきあがる感動と闘志は一体何なんでしょう。
これ観て戦え!
激!オススメ!
関連エントリ
→三池祭第一夜 「極道恐怖大劇場 牛頭」
→三池祭第三夜 「龍が如く 劇場版」
→三池祭第四夜 「 DEAD.OR.ALIVE2~逃亡者」
→三池祭最終夜 「オーディション」