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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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私はこの作品を観て初めて
「脚本の巧拙」を意識しました。
そういった意味でとても有意義な映画鑑賞であったと言えましょう。

粗 筋

江戸末期、泰平の世と言われた時代。その平和が故に食い詰め、生活に困る侍が急増していた頃、巷では「狂言切腹」なるものが流行していた。立派な門構えの屋敷を選んでは玄関先に入って、いよいよ生活に貧窮し、侍として腹を斬ろうと思う。ついては、其方の立派な庭先をお借りしたい、と頼み込む。庭先で腹など斬られてはたまらないと思った家の者は、金を貸すなり、召抱えるなりして何とか思いとどまらせようとする。それを狙った手口である。
ある日、名門井伊家の門を叩くみすぼらしい侍がいた。曰く、「いよいよ腹を斬ろうと思い、ついては其方様の庭先をお借りしたく、お伺いした次第」。
津雲半四郎と名乗る志願者に、井伊家家老斉藤勘解由は口を開く。
「最近、こういったことが増えているそうな。お見受けしたところ、貴殿はいまどき珍しい武士としての魂を持したお方のようなので、まさかそういったつもりではなかろうが、最近は狂言切腹と称し、腹を斬るつもりも無いのに、何処ぞ目についた家の庭を借りたいと申し出て、金をせびる輩が多いとか。我が井伊家も例外ではない。先日も、貴殿のように庭を貸してくれと申す若い侍が此処に来た。
…その侍がどうなったか、聞きたいか」
狂言切腹のつもりで来たなら、この井伊家では通用しない。
そう、牽制するつもりで語り始めた家老に対し、半四郎は目をらんらんとさせて言った。

「お話、賜りましょう」

その佇まいに些か気押されながらも、家老は語り始める。
若い侍、千々岩求女の死に様を。



物語としてきちんとした連環を描ききっている、きちんとした原作があるのに、どうしてこうモタモタすんのかなあと思いながら見てた。
この話には語り手が二人いる。
一人は役所広司演じる井伊家家老、斎藤勧解由。
もう一人は市川海老蔵演じる津雲半四郎。
劇中ではまず先に斎藤勧解由が全てを語り、
それから津雲半四郎が身の上話を始めるのだが、
その語り始めとか、一旦語りを止めて再び始まる流れとかが、
とにかくのろのろしていて、無駄な応酬とかもあって、こう…
テキパキしてないっていうか…うーん…
三池監督の前作「十三人の刺客」では、無駄な展開や描写を
いっそ切り過ぎってくらいに省いて、クライマックスにドン!と50分使う。
という離れ業を見せられ、物凄く興奮したのだけど、
あれはやはり天願大介の脚本が良かったということなんだろうなあ。
と本作を見て理解しました。



物語としてはつまらないはずが無いんです。
あらすじ(私が書いたやつじゃなくて、ちゃんとしたやつね)を読むだけでゾクゾクするような力を持った原作ですから。だからちゃんと、詰めるとこは詰めて、尺を使うべきところではきっちり時間を割いて、丁寧に作ればすっごく面白い映画に仕上がる筈の素材。なのに。
何故千々岩求女が、素晴らしい青年であり、愛に溢れた父親であり、よき夫であった筈の彼が、「狂言切腹」という道に走らざるを得なかったのか、という点を丁寧に掘り下げて描くだけで、充分見所のある映画になった筈なのに。
素材も役者も一流なのに。
もったいない!


早々にリメイク希望。
ですが、そんな希望を持たせる程度には惜しかった!
ということで。

あとマイラブ新井浩文も出てるし。
そういった意味でオススメです。
寧ろ、これ見て「どこをどうすればよくなる!」という話し合いを
誰かとしてみたい。誰か付き合ってくれませんか。


あ、忘れてた。
和菓子のエピソードは良かったです。
映画的で。

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