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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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何か読む方向がどんどんずれていってる感。

だが
「これはペンです」
「ソーラー」
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
も読む。読みたい。いや読む。
あ、あと「久生十蘭全集」も。
あとアゴタ・クリストフ追悼の意味で
「二人の証拠」
「第三の嘘」も。
やる事ありすぎて死ぬわ。


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弔辞って人文だろうか。
まあ一応文ではあるか。
ということで、話題の「kagerou」がぎっちり平積みになってるのを横目で見ながら
ずっと気になっていた文芸春秋を買ってきた。
読みたかったのは「特別企画 弔辞 劇的な人生に鮮やかな言葉」。
ここ数年で最も騒がれたであろうタモリの赤塚不二夫に捧げる弔辞をはじめとして、
実に45の弔辞が収められている。送る側も送られる側もすさまじいビッグネームばかりで、
大江健三郎から井上ひさしへ、山田太一から寺山修二へ、渡辺淳一から城山三郎へ、など
さすが文芸春秋といった具合。ここでは作家ばかりを挙げたけど、政治家やお笑い、歌舞伎役者など
カテゴリーも多岐にわたる。小栗孝一(馬主)からオグリキャップへ、なんて変り種もあった。

で、もちろん泣ける弔辞もあればいまいち心に響かない弔辞もあるわけですが。
主に政治家さんの政治家さんによる弔辞ってのは、亡くなった方の経歴をつらつら述べるというルールがあるのか何なのか、読んでいて結構飽きちゃうところがありまして(まあ葬式に呼ばれてもいないのに弔辞の内容を覗き込んだ上に飽きるなんてどういう了見だという気もするが)、
そこ行くとやっぱりテレビで喋る仕事をしている人たちは観客を感動させんのが上手いなと感心しました。
タモリ然り上岡龍太郎然り、個人的な故人との思い出に言及しながら亡くなった方の人となりを浮かび上がらせるという、口で言うのは簡単だけどやってみると難しいに違いないこの一事を、
為しえているか否か。がやはりポイントではないかと思う。


上岡龍太郎から横山ノックへ ノーカット


いかにも上岡龍太郎らしい、作り込まれた文章だなあと思う。
しかし横山ノックってそんな人だったのね。と
これを見ていささか驚いてしまった。

この特集を読んでから動画を漁ったのだけど、
一番見たかった「永井一郎(波平の声の人)から高橋和枝(カツオの声の人)へ」が
結局見つけられなかった。
すげー見たい。これ。
絶対泣けるじゃん!


 




書こう書こうと思いながらかなり時間が経ってしまったけども、
立川談春の独演会に行って来た。
最近落語に凝っている兄が、チケットが取れたので行かないか、と家族を誘ったのだ。
いわく、なかなかチケットが取れない人気の噺家さんらしい。


落語には今までまったく興味が無く、知ってる落語家は皆テレビで顔を見たことのある人ばかり。
談春て誰?と聞いたら兄は一冊の本を差し出した。題名は「赤めだか」。

ああ!これ書いた人か!と一発で腑に落ちる。


「落語家の書いた『赤めだか』という本がそらもうえらい売れまくっているらしい」
という噂は前々から聞いていた。
ただ先述の通り、業界については全くもって疎いので、誰が書いたやらなんてことは全く知らなかったのだ。
「面白いのこれ」
「談志の凄さが分かるね」
兄は自信満々に言った。


どういった本かというと、まあ自伝だ。
自分が立川一門に入り、談志の門下生になって、それから噺家になるまでを淡々と書く。
「淡々と書く」と簡単に言ったけども、この淡々と、それでいて面白く書くというのがどんだけ難しい事か。

文体としては非常に飾り気の無い語り口である。
遊び心のあまり無い、と言うと何となく味気無さそうに聞こえるけど、そうではなくて
余計なものの削ぎ落とされた、洗練された文章だ。
噺家の書いた文章、というのがどういったものなのかは不勉強にしてよく知らないが、
少なくとも言えることはびっくりするほど読みやすいということ。
するすると頭に入ってくる。


ところで、話はその独演会に戻るんだけど。

今回披露されたのは
「粗忽の使者」
「愛宕山」
「たちきり」
の三つ。
印象に残ったのは断然「たちきり」である。
というのも、私はこの「たちきり」を聞いて、うっかりぼろぼろ泣いてしまったのだ。
何度も言うが落語に興味を持ったことは今まで一度も無い。
その演目も、名前と概要は聞いたことがあったものの、通して聞いたことは無い。
だからこれを書くにあたって調べて初めて、談春の披露した「たちきり」はスタンダードな「たちきり」とは少し違うのだという事を知った。

私が知っているのは談春の「たちきり」ただ一つなので、ここでは私の聞いたままを説明する。
落語の内容を語るのがネタバレになるのかどうかは知らないけど、とりあえず隠します。



 

自慢ではないが、私は書籍全般の情報というやつに相当疎い。
それはまあもちろん、私がさして筋金入りというほど本を読む人でもないからでもあるんだが、その点を差し引いても、わりかし疎い。と思う。
例えばここ最近の芥川賞・直木賞の受賞者や受賞作になどとんと関わっていないし、ていうか名前も知らない。
彼らはしばしば作品の巧拙以外の点を主にテレビメディアで取り上げられたりしているが(CDも出してた美人作家とかいましたよね)、残念ながら私はテレビも殆んど見ないので、そっちからのフォローもままならないのだった。そんなわけだから、今現在世の中を揺さぶる勢いで売れまくっている村上春樹「1Q84」についても、実際に本屋で「1Q84売り切れ!」つー張り紙を見るまでその存在さえ殆んど知らんかったというていたらく。

まあそりゃもちろん、私だってそりゃハルキストだったりしたら誰よりも早く新作情報を手に入れてたかもしれないんだけど。でも「興味ない」と断言するには私結構村上春樹の小説読んでるし。まあハルキストではないっつのは断言出来るんだが。

例えば、ハルキストが村上春樹を好きな程度に私が好きだなあと思う作家てのがまあ大江と町田康。んで大江に関しては彼が結婚する前のやつはそらもう面白くておすわりしたまま涎で足の裏濡らす程度には大好物で、まあ短編も良いんだけどそれよりはちょっと長めな「われらの時代」「遅れて来た青年」「同時代ゲーム」あたりのテイストを持った最新作が発売されたら日本で一番早く入手しそして読破する自信はあるくらい好きではあるんだけど最近のは全く読んでないのでまー除外。
するとなると残りの町田康だけど、これまた書き下ろしの最新作「宿屋めぐり」つー作品だって私はある日本屋に行って初めてその存在を知ったのである。しかも未だに読めてない。以前図書館で蔵書検索したら全部借りられていて諦めたのだ。しかもその事を暫く忘れてて、さっき図書館で返却されてた「宿屋めぐり」そのものを見て思い出したっつんだから酷い話だ。
んで じゃーやっと借りたのかと言われれば今現在「OIL!」と「レトリックのすすめ」つー本を借りてて、更に「レトリックのすすめ」の方は既に延滞してるので新しく本を借りる事は出来ず、結局今日もチャンスをふいにしたわけである。

ここまで書いて、疎い疎くないつーか単に計画性がなくてめんどくさがりなだけっつー気がしてきた。
だから最新の情報とかをチェックするのが苦手なんだと思う…

あと致命的なのは、好んで読むのが大体古典というか、最新の本とかじゃない点。
だから新情報にあまり興味がわかないわけ…いやでもこれはいかんよなあと最近思った。
リアルタイムに読むべき本ってあるし。

まあ何が言いたいのかというと今後はきちんとアンテナ張りめぐらして
面白そうな情報は取りこぼさないようにしつつ
現代の文学もきちんとたしまねばならんよなあということでした。
ちょいちょい新しい本も読んで行こうと思う。
という意思表示…こういうのをブログに書かないと忘れる時点でダメなんだよ!


しようかなと思ったけど読んだ本の何をどう語れば良いんだろう。
とりあえずこないだ読み終わったのを二冊ほど。

妖女サイベルの呼び声
(パトリシア・A・マキリップ ハヤカワ文庫)

ファンタジー界では超有名と聞いて。
ずっと読みたくて本屋を回ったのにびっくりする程置いてなかった本。世界幻想文学大賞第一回受賞作品だそうです。ちなみにこれを原作にして「陰陽師」の岡田玲子が「calling」という漫画を描いてるらしい。そっちはまだ未読ですが、うーん。らしすぎる。

とりあえず今までファンタジーと名のつくものからは極端に距離を取って生きて来た事をちょっと反省するくらいの作品であったことを言っておこう。面白かった。隙の無い世界観と、威厳を感じさせる文章。作者はこれを書いた時、若干25歳であったと聞いてこれまた驚愕した。白い髭をたくわえた爺さんが、本のタワーに囲まれて羊皮紙にインクで書いたんじゃないかと思わせるような重厚感を持つ物語だったからだ。

主人公のサイベルには、呼びたいものを自由に呼び寄せる事の出来る能力があった。それはその世界で魔術と呼ばれるもので、もちろん呼びやすい者もいれば呼びにくい者もいる。それは個々人(呼び寄せる事が出来るのは人間には限らないが)の持つ能力によりけりで、魔術に秀でた者を呼び寄せるには当然それなりの力が必要となる。で、サイベルは非常に優れた能力を持った魔術師であった。
サイベルの周囲には過去に呼び寄せた魔物たちが集っており、ともに生活を営んでいる。その魔物たちも、サイベルの能力を象徴するかのごとく 一筋縄では行かない、伝説を持った猛者たちばかりなのだが、この物語の凄いところは、それらの魔物がいかに恐ろしく、世に知られた魔物であるかを三行から四行で説明しており、なおかつその説明が簡潔でありながら説得力を持っているところである。
サイベルを尋ねてくるエルドウォルドの騎士、コーレンとの対話で、それらの伝説が明らかになる箇所があるのでそこを引用する。

コーレンは猪を見つめ、懸命に言葉を捜した。「サイリン」彼は呟いた。「サイリンだ。あなたのものになっているとは」彼は再び絶句した。荒い呼吸が開いたままの口から洩れる。彼は記憶の糸をたぐりたぐり、ゆっくりとしゃべった。「ランリールの領主――ロンダーが捕らえたのが――猪のサイリンだった――それまで――誰も捕らえたことのなかったサイリン――逃げ隠れの巧みなサイリン――謎の番人――ロンダーは、サイリンに、いのちを捨てるか、それともこの世の叡知のすべてを引き渡すかと迫った。するとサイリンは、ロンダーの足もとにあった岩を根こそぎにした。ロンダーは、そんなものには一文の値打ちもないといって、馬で去った。そしてなおもあきらめずに……」
「どうしてその話を知っているのです?」サイベルは驚いてたずねた。「エルドウォルドで起きた話ではないのに」


文中には、ランリールも、領主ロンダーも、全く何の説明もなく登場する。その伝説がいかに有名な話か、などにも 何の説明もなされない。ただサイベルの反応から、異国の騎士が知っているにしては古すぎる伝説であること、その古すぎる伝説を知っているコーレンが、物語での世界では特異な存在であることが分かるだけだ。

彼は、猫属の二頭が、館の向こうから、闇の中をゆるやかな足取りでこっちへ近づいてくるのを見守った。彼が唾を呑む音をサイベルは聞いた。タムローンが腕の中でもがいたが、コーレンは動かなかった。猫のモライアがやってきて、黒い、平らな頭をサイベルの掌に軽く押し付けた。それから彼女の足もとにごろりと寝そべって、磨きあげた宝石のような歯をコーレンに見せて、あんぐりとあくびをした。
「モライア………〈夜の貴婦人〉だ、魔術師タックに、彼が幽閉されていた扉のない塔を開く呪文を教えた……こっちの――ライオンは知らない――」黄金の滴りとも見まがう眼を持ったライオンのギュールスは、コーレンの足もとを一めぐりすると、つややかな毛並みの下にゆったりと筋肉を波打たせてコーレンの正面に蹲った。コーレンは、あわてて頭を振った。「いや待てよ――〈南の砂漠〉にライオンが一頭いたな。貴人の宮廷につぎつぎと住まいを移し、知恵をほどこし、贅沢な肉を糧とし、気の赴くままにその折々の貴族の紋章のついた首輪をつけ……ギュールスだ」


要するに、説明が殆ど無いのである。魔物たちに関する――またはそれ以外の事柄に関する伝説や物語が、「当然あるもの」のように不意に文中に登場し、そして終わる。読者たちにはそれ以外の情報が全く与えられないにも関わらず、それらが一定の説得力を持って読者たちに受け入れられる所以は、ディティールの細かさと気品を持った文章の故か。或いはこれらの寓話一つ一つが、非常に良く出来た神話のパスティーシュなのだ。

まあ 説明しすぎて失敗してる類のものは世に溢れてるし、いちいち指摘せずとも皆さん分かってるだろうから言わない。でもここらへん――要するに「説明を省く」ことによって逆に広がりを見せる芳醇な世界観、というのが この作品の魅力の一つである事は疑いようの無い事だ。一の沈黙が十の描写に勝るってのは、小説に限らずよくあることである。

それと、個人的に素晴らしいと思った一節があったので再び引用する。

「きみにとって必要な人はロックやセネスだ、ぼく以上にね。サイベル、ぼくはきみのやっていることがわからないんだ。きみの正体がわかったからといって、ぼくがきみのことを恐れるだろうか?愛さなくなるだろうか?」
「ええ」サイベルはささやくようにいった。「いまのあなたのように」
 コーレンはいきなりサイベルを掴み、揺さぶり、苛んだ。「そんなことがあるものか!愛とはいったいなんだと思っているんだ――大声をあげたり、打ったりするたびに驚いて心から飛び立つ小鳥のようなものだとでも思っているのか?


かっこいい!!大声をあげたり打ったりするたびに驚いて心から飛び立つ小鳥!!この表現!
もー理屈ぬきでキャーってなった。良いわあ…これ良いわあ…

まあ、そういった具合で。なかなか良い読書体験をしたので近所のファンタジスタ(ファンタジー好き)木登りヤギにこのことを話したらちょうど彼女は同じ作者の「ホアズブレスの竜追い人」についてのエントリを上梓している最中(やや脚色)だったということで二度びっくり。風力7を監視してたらそのうち何か書いてくれると思いますので 皆さんで日参いたしましょう。

あ、もう一冊あったんだけど、まあ次の機会に。
今読んでるのも何か、凄そうですよ。期待しつつ読み進めております。

 



 

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