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2回連続で記事が消えたマドンナの元旦那が作ったまともにかっこいい映画はスルーして、その後に観た全然まともじゃない上にかっこいいかどうかも分からない映画について書きまする。
もともと私はこー見えても女なので、男汁ギンギンの世界観が屋台骨を支えているような、結構チャチな、安っぽい、いわばありがちなサクセスストーリーに「男」という名のゼラチンをふりかけて力技で固めたかのような、男同士の友情!とか兄弟の誓い!とか背中を任せあう仲!とかそういうグルーブ?バイブ?からは最も遠い所にいる者として責任を持って「ごめん あんまわかんない」とライトに且つ確実にNOを突き付けることには定評があります。
ここで触れたように、世の男どもがこれを好きなんだろうなってのは分かる。男同志って良いねえ楽しそうでさ。とも思う。でも残念ながら分からない。何故って自分が女だから。という諸事情に加えて、自分がこれを「分かる」って言っちゃダメなんだろうな。ってのも正直な気持ちだ。だってこれは男たちの物語なんでしょ?男同志の、友情、絆、そういったもんを描いた映画なんでしょ?それに女である自分が土足で踏み込んでって、男たちが組んでる円陣に割って入り無理やり自分も一員になろうとしちゃ ダメでしょやっぱ。人間は空気を読む生き物です。せっかく男の子たちがキャッキャ言いながら一体感を味わってるところに女が入ってって 良いよねー!凄い分かる!ほら、私も結構男の子っぽい趣味の子だし(笑)少年漫画読むし(笑)結構女の子と話してても、「何か男の子みたいだよねー」とかいわれちゃうんだよね!だから仲間に入れて!とかのたまったら、あれでしょ。台無しですよ。
なので今回も私は空気を読もうと思う。三池崇史監督作品!主演哀川翔!と竹内力!どこをどう切っても男印。うん。分からん!!全然どこが良いのか分からん!
ただ今回が前回(エグザイル/絆)と違うのは、果たしてこの作品が「男の好きな映画」なのかどうかさえ分からないという点である。
舞台は24世紀の横浜。一人っ子どころか「子作り禁止政策」が敷かれた独裁体制の下にあるこの街に現れた謎の男(哀川翔)。ガラの悪い男(竹内力)に率いられた武装軍団(警察らしい)に包囲された子供を救うために立ち上がると、警察官の一人が放った弾丸に手をかざした。握ったその手を開くと 弾丸がぽろりと落ちる。それを見た竹内力が一言。
「レプリカント…!!」
まさかのブレードランナー。
ここで噴いた。
全くレプリカントに見えない哀川翔
まあその後は戦闘あり裏切りあり擬似家族ありでなかなか堪能できるのですが、そんな積み重ねもラスト数分でぶっ飛ぶ感じ。多分こういうのを狙って作ってるし、狙ってる割にはあざとくないのも意外と好感が持てました。
こんなとんでもない話なのにストーリー構成には矛盾がないのも好印象。
何よりブレードランナーでは実現しなかった「レプリカントVSレプリカント」をクライマックスに持って来ているのが良い。
その結末については何も言えねーけど。
あと、他のキャストほとんどが中国語?をしゃべってて、哀川翔と竹内力は日本語をしゃべってるのに、何の説明もなく会話が通じているのも良かった。妙な説明入れたり、へたくそな日本語やへたくそな中国語をしゃべらせるよりよほど良い。こういうとこは意外と映画的だよなー。映画そのものは全然映画的じゃないのに。
つーことで。まとめますと。
面白くはないです。ただ、印象は良い。なんつーか、嫌いじゃない。って感じ。
んでもう分かるか分からないかって話では別にこれ「男だから分かる」とかじゃないな…男の人でもこの結末に唖然とする人はするだろうし 怒る人もいれば、笑って許せる人もいると。そういう感じなので、逆に女性も安心して観れる漢映画かもしれない。…ただ別に面白くはないよ。(しつこい)
やっぱー、面白いとかー、面白くないに関わらずー
ものすごい額のお金と物凄い数の人間と物凄い時間を賭して作られる映画というもんに対してー
それなりの敬意を持って挑まんといけませんよね。ということで
1エントリにつき1作、というスタンスで紹介していこうと勝手に決意をしたは良いものの
こないだ見た「LOCK STOCK&TWO SMOKING BURRELS」について書きかけたのを二度も不注意で消してしまいしょっぱなから出鼻くじかれやる気をなくしました。
もういい!明日からにする!
ちなみに今はこれを書きながら、三池崇史監督・哀川翔、竹内力主演の「D.O.A FINAL」を観てます。だからながら観とかすんなっつーの…敬意はどこ行った!てのは置いといてまー濃い映画ですこと…今までこーいうの観て来なかったから新鮮だわ。
次は「D.O.A 2 ~逃亡者~」を観るんだい!
(三池フィーバーが来ている)
あと「仁義なき戦い」も観るんだい!
(暴力フィーバーが来ている)
ためすぎた。
ので箇条書き。
青→アメリカ
オレンジ→イギリス
ミドリ→日本
ピンク→フランス
水色→韓国
2001年宇宙の旅 ★★★★
理解したのかっつわれたらしてないし
理解するためにもう一度見ようとも思わないが
この説明不能のおもしろさはいったい何だ。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 ★★★
ごめん 寝た なんか単調で。
暴力脱獄 ★★★
ルーク!!クールハンド・ルーク!
ゴスフォード・パーク ★★★
ウイットに富んだ会話が完璧。
007 カジノ・ロワイヤル ★★★
少なくとも今までの007シリーズの中ではまっとうだ。
カジノで「ここで負けたら終わりだ!」みたいな賭けに
まあそりゃもちろん007が勝つんだけども
それが全然イカサマとかなんかの仕掛けをした結果の勝ちじゃなくて普通に運で引き寄せた勝ちだったのでちょっと何でー!って思った。裏切られた…
大阪ハムレット ★★★
危惧していたほど酷くなかった。
松坂慶子のおばちゃんぶりは絶妙だったし。
キャスティングがなかなか良かったのかも。
次男を演じた子、好きだわあ。
アフタースクール ★★★★
いやー面白かった。意外にも。
あんま期待してなかっただけに
ちょっと嬉しくなって、四つ星。
007 慰めの報酬 ★★★
うん。まっとうだ。まっとうすぎる。
ウエイトレス ★★
それははたしてハッピーエンドなのか…
主人公の女が何を考えているのか
全く分からなくて困惑した。
スーパーバッド ★★★
今をときめくジャッド・アパトウの作った
くだんな面白映画。
警察官の人超良いキャラ。と思ったら
本作の脚本家でやんの。ばかwwwwww
やわらかい手 ★★
予告編を観て面白そうだと思い観てみたら
予告編で語られていなかったことが一つも無かった。
つまり予告編観るだけで十分な映画だったってことだ。
ロシュフォールの恋人たち ★★★★
チャキリス!!チャキリス!!
曲が凄い良かった。
チェンジリング ★★★
アンジー以外は良かった。
クローバーフィールド/HAKAISHA ★★★
フツー恐竜映画っつのは、ヘリの上からとか空からの俯瞰とか、要するに神の視点から描かれるものが大半だと思うんだけど、クローバーフィールドは常に襲われる側からの視点から描かれるわけで、その点でも斬新だなあと思った。ビデオカメラというメディアの利用法もなかなか。時折入り込んでくるロブとべスの「良い1日」との対比も良い。あまりにもかけ離れた二つの1日を繋げる VTR最後で二人が交わす言葉が活きていた。
シークレットサンシャイン ★★★
ちょっともー…主人公!この女の愚かしさにはほんと話の最初から最後までイライラさせられたわ。しかも今日「チェンジリング」観て来たばっかだから「そんな子供を一人置いてカラオケ行くなよ!」とか「おいおいその引き戸鍵かけてねーのかよ!」とか些細なとこで凄いムカついた。なのになんで三つ星かって?その馬鹿女に惚れてるキムさんが超良い人だからだよ!!それととてつもなく、飲み込めないほど辛いことが起きた時には、人間ってどうしようもなく愚かな行動を取ってしまうものなのではないかと思ったから。イライラしながら思ったから。
20世紀少年をフルに楽しんで観てる奴なんてどこ探しゃいるんだよ!って思ってたら昨日飲み会で友達が「映画で20世紀少年にハマった」って言ってて衝撃を受けた。こ、こんなところにいたなんて!
でもあっぶねー。これだからミクシーで日記なんて書けないんだっつーの。(半年以上まともにログインさえしてないけど)
黒澤特集エントリあとちょっとで完成ってとこでIEが落ちた。
おお……!!!!
何だよおおおおおおおもおおおおおお
…でもめげてても前には進まないので再び書きます。
こまめに保存しつつ書きます…ふう…
あ、そういえば明日アカデミー賞発表ですね。
楽しみだなー。
んーで、今回は先日BS7で放送された「黒澤明 あなたが選ぶベスト5」の5作品について書きます。今年は黒澤没後10年ということで、今後もBSで他作品が放送されるようなので、興味のある方はチェックしてくださいな。→特集ページ
ではまいります。見た順(=放送された順)で。
リクエストランキング 第5位
天国と地獄
1963年作品。製靴会社の常務・権藤のもとに、ある日電話がかかってくる。「お宅の息子を預かった。返してほしくば3000万円用意しろ。」だがそこに、何事も無かったかのように権藤の息子・純が帰ってくる。誘拐犯は間違えて、純と一緒に遊んでいた権藤の運転手・青木の息子を誘拐したのだ。その事を知ってもなお、誘拐犯は要求を取り下げない。変わらず権藤に身代金を払えと告げる。他人の子のために何故自分が3000万もの金を払わねばならんのだ。自分は決して払わんぞ。そう憤る権藤に対して、誘拐犯は慌てもせずにこう言った。「権藤さん、あんたは払うよ。…あんたに子供を見殺しにする度胸なんぞあるもんか。」
凄まじい迫力を持った映画である。最も、それは黒澤映画の殆どに言える事ではあるが。
この映画で強調して描かれているのは、主人公・権藤の住む世界と 誘拐犯の住む世界。その間にある深い溝、格差である。権藤は高い丘の上に建てた大きな一軒家に住んでいる。その丘の下にはあばら家がぎっしりと詰め込まれたように軒を連ねており、そこから権藤家を望むと まるで城のように気高く映る。この描写がまずあって、その圧倒的な構図により 映画を見ている者は権藤に対する誘拐犯の、歪んだ、ねじれた羨望を一瞬で理解する。
それとやはり印象的なのは、走っている列車の上で行われた現金の受け渡しシーン。実際に在来特急こだまを貸し切って、実際に線路の上を走らせ撮影したこの1シーンは、臨場感と緊張感溢れる名場面だ。
加えて、冷酷で知的な誘拐犯を演じた山崎努の じりじりと追い詰められて行き、ラストシーンで一気に狂気を溢れさせる演技が素晴らしかった。
三船敏郎パパ(写真左)が息子をひょいと抱き上げるシーンが
あまりにさりげなく力持ちできゅんとした。
リクエストランキング 第4位
生きる
1952年の作品。今まで無気力に生きてきた役所勤めの男・渡辺勘治が、自らが胃癌に侵されており、余命も残り少ない事を知り、これまでの人生を顧みて、最後に自分の命を賭した最後の仕事に全力を尽くすことで 生きることの意味を掴み取るまでの話。
これは私にとって思い出の作品であり、同時に初めて自主的に見た黒澤映画である。
大学で「映画を観るだけで単位を取れるから」という理由で取った倫理学の授業で見せられたのが最初だ。
大学の授業は1時間30分なので、前・後半に分けて2週間に渡り1本の映画を観る、という構成だった。
前半を観終わった時点で既に衝撃(「黒澤明の映画ってこんなに面白かったのか!」)と感動でボロボロに号泣。来週も必ず授業に出なければ!と心に誓った。にも関わらず、次の授業は遅刻してしまい出席出来なかったのである。これは運悪くこの授業が1限だったことと、キャンパスがド田舎にあったことによる。(まあ第一の理由は自分のずぼらな性格だが)
しかしどうしても続きが気になったので、図書館の視聴覚室でLDを借り 後半を観た。視聴覚室のTVはひとつひとつ仕切りで区切られており、音はヘッドホンを装着して聞くことになっていた。私はたった一人でこの名作と向き合い、そして案の定、観終える頃には涙でボロボロ。顔が。
公開から57年経った今観ても、テーマが全く古臭くない。志村喬の演技もその迫力を減じてはいない。いつ観ても、何度観ても凄い。
印象深いキャラクターは、渡辺勘治の部下である小田切とよ。彼女は絶望に打ちひしがれていた渡辺勘治を、その屈託のない物言いと溢れんばかりの笑顔で救う。彼女のセリフがまた良いのだ。
渡辺勘治は彼女をカフェに呼び出し、何故そんなに楽しそうなのか、どうすればそんな風に明るく、生き生きと生活できるのかと尋ねる。その問いかけに彼女は戸惑いながら、自分が仕事で作っているうさぎのおもちゃ(その時彼女は既に役所勤めを辞め、おもちゃの工場に勤めていた)を机に置くとねじを巻いた。「あたし、そんな変わったことしてないわ。こんなん作ってるだけよ。…こんなものでも、作ると楽しいわよ。あたしこの仕事始めてから、何だか日本中の赤ん坊と友達になったみたいで 嬉しいの。」
うさぎは、机の上をぴょんぴょんと跳ねた。
渡辺勘治は彼女の言葉を聞き、「いや まだ遅くない。」と呟く。跳ねるうさぎを胸に抱くと立ち上がり、階段(そこはカフェの2階であるらしかった)に向かう。その背中をただなすすべもなく見守るとよ。階段の手すりに寄り掛かるようにして、彼を見送っている彼女のまわりを ぐるりと若者たちの集団が取り囲むように階段に集まってくる。階段を降りる渡辺勘治。やがて彼とすれ違うようにして、若く美しい娘が階下の踊り場に立ち 階段を登りはじめた。彼女を2階の友人たちは、ハッピーバースデーの大合唱で出迎える。
おそらく誕生日を迎えたのであろう娘と、死に行かんとしている男。娘を出迎え、そして同時に彼を見送る若者たちのハッピーバースデー。複雑な表情で彼の背中をじっと見つめるとよ。
素晴らしい1シーンだ。観るだけで鳥肌が立つ。
そしてこの日を境に、渡辺勘治は再び生き始めるのである。
そう、あのハッピーバースデーは 確かに彼に向けられた祝福でもあったのだ。
また、重いテーマでありながら要所要所にはユーモアも篭められており、バランスが良い。
小説家に連れられて渡辺勘治が夜の盛り場をうろつくシーンは、コミカルな動きと展開がまるでチャップリンの無声映画のようだった。
いやーほんとお勧め。見てほしい。
海外でも「IKIRU」で通じるらしい。
リクエストランキング 第3位
用心棒
1961年の作品。桑畑三十郎と名乗る浪人が、2大勢力の対立によって荒れに荒れた宿場町に訪れるところから始まる。居酒屋の権爺に事情を聞くと、浪人は両方の根城に赴いて両方に自分を用心棒として売り込み、双方の共倒れを画策し始める。思うままに双方を翻弄し、熱を煽る三十郎。そのもとに、ピストルを持ったやくざ、卯之助が現れる。2大勢力の最終決戦は いよいよ始まろうとしていた。
「椿三十郎」はこの「用心棒」の続編という位置づけ。いずれも三十郎と名乗る男が主人公なのだが、この男の名乗りシーンが面白い。名を聞かれた男は窓の外に桑畑が広がっていたのを見て、こう言う。
「桑畑三十郎だ。…もっとも、もうそろそろ四十郎だがな。」
かっこいーよなーここー。
故淀川長治が本作と「椿三十郎」を評して曰く 「映画の一番甘いとこ」。映画ってのは万国共通で、面白い映画も万国共通。つまりこの映画は、世界中の人が観て喜ぶ映画だ。と言ってた。素晴らしい批評だと思う。
左上で悪い顔してる仲代達矢が良い。
リクエストランキング 第2位
赤ひげ
1965年の作。山本周五郎の「赤ひげ診療譚」が原作。父に言われて小石川療養所に訪れた若き医師・保本登が、そこで働く破天荒な責任者・新出去定(にいできょじょう)のもとで働く事になる。初めは新出のやり方に反発していた保本だが、その下で働いているうちに、貧しい者たちの抱える苦しみ、悲しみ、それでも前向きに生きようとする強い生命力に打たれ、生とは、死とは何かについて思いを馳せながら 一人の医師として成長していく。貧困や無知に対する、社会からの圧倒的な無関心が病の根であり、ここを放置していてはいかなる医療も病を治すことはできない。本作の掲げるテーマは、公開当時、現在においても、全く色あせない永遠の課題である。
鮮烈なラストシーンは黒澤映画の特徴でもあるが、本作は特にその爽やかな、後味の良いラストシーンが印象的だ。映画を観たなあ、という気になる。
加えて特に本作で印象に残るのが、子役たち。当時16歳だった二木てるみの鬼気迫る演技は堂々たるもので、共演した大女優の杉村春子にも全くひけをとっていない。いやほんとに素晴らしい映画だ。こんなしょうもないブログ読んでる暇があったらこの映画を見てほしい。見てほしいんだ!そのためなら世界の中心で叫ぶことさえ辞さないぜ。
なお、本作は三船が出演した最後の黒澤映画でもある。この映画を以て、ぱったりと三船は黒澤映画のキャストから姿を消した。これ以上の幕引きはないとも思うが、でもやっぱりちょっともったいないよね。
左の少女が二木てるみ。真ん中のイケメンは保本を演じた若かりし頃の加山雄三。
リクエストランキング 第1位
七人の侍
1954年の作品。かつて農民が野武士の横行に怯えていた時代。
米の収穫が終わったころを見計らい、村を襲っては作物を奪い去っていく野武士から村を守るため、農民たちは餓えた侍を雇い、野武士を追い払ってもらおうと思いつく。この戦には何もない。名も上がらないし、褒美も出ない。ただ、米だけは腹いっぱい食えるというだけ。そんな戦に名乗りを上げた侍は七人。彼らは農民と生活を共にしながら、少しずつ村を強化していく。農民に戦の心得を説き、互いの心を通わせる。そんな中、ついに野武士が村に襲来する。
言わずとしれた代表作。日本映画の金字塔。映画が観たくて観たくてたまらない時は、これを1本見れば良いと思う。きっと満たされるから。
黒澤映画はいつも、声がどうも聞き取りづらいんだけど 七人の侍は特に何を言ってるのか分からないシーンが多々ある。そのため、観てる側はものすごく集中して耳を傾け 全身で登場人物が何を言ってるのかを理解しようとする。だからこの映画を観ると、凄く疲れるのだ。全身で映画を観るからだ。あと長いし。
この映画は特に、登場人物がとても魅力的。侍たちはもちろん、農民も町人も全て良い。キャスティングの豪華さも特徴で、通行人役でひょいひょいと仲代達矢や宇津井健が出ていたりする。
侍たちの魅力も、もちろん特徴の一つなんだけど まあそこは置いといて。
本作はチャンバラ映画、娯楽作品でありながら 侍と農民の間にある隔たりと、互いの持つ固定観念 それを破壊して相互理解に至る道筋も描かれている。侍は農民を、虐げられた、弱い生き物だと思っている。農民は侍を、恐ろしい あまりに強い生き物だと思っている。その間を取り持つ、架け橋となるのが侍の一人(正確には彼は侍ではなく、いわばチンピラなのだが)である、三船敏郎演じる菊千代だ。
侍たち。フロントが菊千代。
侍たちが戦の計画を練っている席に、菊千代が鎧を身につけて大はしゃぎで帰ってくるシーンがある。
侍たちは彼に、その鎧はどうしたと聞く。彼は農民が持っていた、と答える。
鎧は侍の持ち物だ。要するに農民は、死んだ侍の持ち物を盗み、こっそりと所持していたのである。
それを聞いて侍たちは憤る。ついでに農民たちが盗んだ侍の持ち物を身に着けている菊千代にも憤る。
「それでも侍か!この鎧は百姓が侍を突ッ殺して手に入れた品物だぞ!」
「まあ待て、落ち武者になって、竹槍に追われた者でなければこの気持ちはわからん」
「俺はこの村の奴らが斬りたくなった!」
侍たちの言葉を聞いていた菊千代は、立ち上がり突然笑い出す。
ここでの菊千代のセリフには、凄まじい迫力がある。ものすごく聞き取りづらい。多分本作の中で一番聞き取りづらいセリフだと思う。しかしその迫力に呑まれ、観客は必死で耳を傾ける。真剣に聞き取ろうとしてしまう。
「ハハハ・・・・こいつァいいや。・・・・一体、百姓を何だと思ってたんだ?神様だとでも思ってたか?・・・・百姓位悪びれした生き物はねえんだぜ!米出せって言や、無え。麦出せって言や、無え。何もかも無えって言うんだ。ふん、ところがあるんだ。何だってあるんだ。 床板ひっぺがして掘ってみな。そこに無かったら納屋の隅だ。 出てくる、出てくる、瓶に入った米、塩、豆、酒。 山と山の間へ行ってみろ。そこには隠し田だ。 正直面して、ペコペコ頭下げて嘘をつく。なんでもごまかす。 どっかに戦でもありゃ、すぐ竹槍作って落武者狩りだい。 よく聞きな。百姓ってのはな、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ。 ちくしょう。おかしくって涙が出らあ。 だがな、こんなケダモノ作りやがったのは一体誰だ? おめえ達だよ。侍だってんだよ。 ばかやろう。ちくしょう。 戦のためには村あ焼く、田畑踏ん潰す、食い物は取り上げる、人夫にはこき使う、女あさる、手向や殺す。 一体百姓はどうすりゃいいんだ。百姓はどうすりゃいいんだよ。くそう!
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!」
やがて、勘兵衛が言う。「貴様、百姓の生まれだな。」
いやあ…このシーンは本当に、何て言うか、素晴らしい。菊千代というキャラクターの魅力が、どうしようもない弱さ、優しさがにじみ出ている良いシーンだ。
黒澤映画の脚本、セリフってのはどれを取っても全く素晴らしくて、これは時代を超えて理解されるものだと思う。日本語を母国語としていることに感謝さえしたくなる。字幕が無いと理解できない海外の名作はもちろんたくさんあるけど、日本には黒澤映画があるってだけで十分、おつりがくるぐらい幸運だ。
それと、私の好きなシーンは勘兵衛と、勘兵衛に心酔している若き侍・勝四郎が仲間に加わるシーン。最初はスカウトを断る勘兵衛だが、その場にいた人足の言葉に心を動かされて、参加を決める。
この人足がまたものすごく良いキャラなのだ。彼は、侍を探すために町へ留まっている農民と同宿の男で、農民の計画を無茶だと笑い、彼らを馬鹿にしていたのだが 勘兵衛が断るのを耳にするなり、うなだれている農民たちに向かってこう言う。
「ああ!、百姓に生まれねえでよかったなあ、まったく。ああ 犬の方がましだ、畜生!死んじまえ死んじまえ。早いこと首くくっちまえよ。そのほうが楽だべえ。」
この言葉を聞き咎めた勝四郎に向かって更に
「なに言ってやがんでえ。本当のことを言っただけじゃねえか。」
と笑う。それに対しての勝四郎が「何が本当のことか。貴様にはこの百姓達の苦汁がわからんのか。」と怒ると、人足は怒鳴り返す。
「分かってねえのはお前さんたちよ。そうじゃねえか。分かってりゃ助けてやりゃいいじゃないか。」
人足は、農民が勘兵衛たちに振る舞った(彼らは侍たちに炊いて食わせるために、貴重な収穫である白米を大事に壷に入れて村から持ってきていた)茶碗に山盛りの白飯を掲げて こう叫ぶ。
「おい、お侍。これがなんだかわかるか。米のめしだ。だが、このヌケ作どもは何食ってると思う。ヒエだ。自分たちはヒエ食って、お前たち侍には白い飯を食わそうってんだ。百姓には、それが精一杯なんだ。なに言ってやんでぇっ」
そこまで聞いた勘兵衛が、もうわかった。喚くな、と人足を止める。彼は人足の手から茶碗を取り 農民に向かってそれを掲げて見せた。
「この飯、決しておろそかには食わんぞ。」
そして 勘兵衛は農民の願いを受け入れる。
こんな風に、良いシーンをあげていけばキリが無い。
どれだけ時間があっても足りない。だから一番手っ取り早いのは、これを読んでいるあなたが本作を観てくれることだ。どれだけ筆舌を尽くしても尽くしても尽くしがたい。
ということで「七人の侍」。堂々の黒澤明リクエストランキング、堂々の第一位でした。
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やー。いかがでしたでしょうか。
これほんとに最後まで読んだ人がいらしたらお疲れ様でした。そしてありがとう。
さぞ疲れたことでしょう。眼精疲労も半端ないことでしょう。すまんかった。
個人的には「生きる」が一番好きだと思ってたんだけど、やっぱり観てしまうとどれもこれも面白くて全部好きになってしまった。ほんとにすばらしい映画ばかりです。今は手軽にDVD で観られるんだから良い時代ですね。文化財ですね。
まー何ってんでもないですが、今度ツタヤに行った時にふとこのエントリを思い出して 何とはなしに黒澤作品を手に取ってみたり、そんな風なきっかけになれたら嬉しいなと思います。
では長々と失礼しました。これにて終了。どんどはれ。
見た映画羅列。
こないだのエントリで予告動画を貼ってみたんだけど異様に重かったのでやっぱり画像に戻す。
代わりに題名にリンク貼っておくようにします。やっぱ予告見れた方が良いもんね。
ネットワーク
かつての人気司会者、ビールは その人気低迷を理由に番組から降板させられる事になる。思い余った彼は降板を告げた直後、カメラに向かってこう告げた。「来週の火曜日私は番組放送中に自殺します。皆さんは人が死ぬ様子を、テレビを通じてご覧になることでしょう…」
番組が放送されている各地が騒然となり、テレビ局にはひっきりなしに世界中から電話がかかってくる有様。その司会者による奇行を、視聴率を伸ばすチャンスだと捉えた野心家の女性幹部、ダイアナは ビールを「大衆の怒りを代弁する先導者」として持ち上げ始める。
「視聴率」という名の数字に振り回され、狂わされ、きりきりと舞う人々の様を、競争主義社会、過熱する一方のマスコミに対する皮肉の効いた諷刺を織り交ぜつつも鮮やかに描く。
監督は先日も「その土曜日、7時58分」を取り上げたシドニー・ルメット。その他の代表作は「狼たちの午後」「評決」そして何より陪審員制度をテーマに人間の尊厳を描いた傑作「12人の怒れる男」(何と57年作!)。
ビールを演じたピーター・フィンチは、本作完成後間もなく亡くなったが、見事アカデミー助演男優賞を受賞した。
その他も豪華な俳優陣。美しき野心家ダイアナはフェイ・ダナウェイ。その彼女に見事すっ転ぶ可哀想な常識人マックスにはウィリアム・ホールデン。それとパッケージの左から2番目にいるハゲたイケメンは、「ゴッドファーザー」でトム・ヘイゲンを演じていたロバート・デュバルですね。
明日に向って撃て!
実在の銀行強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドが大暴れしてやりたい放題。しかしついに放たれた最強の刺客から逃れてボリビアに行き これで助かったと再び大暴れ。反省?何それ美味しいの?アメリカ野郎の大好物、腕利きのガンマンとカリスマ性あふれるならずものとすがすがしい男の散り際と西部劇全部詰め込んでやったぜ!お前らこれ大好きだろう!てな映画。
何しろキッド役のロバート・レッドフォードがかっこいいことかっこいいこと。そんでちょっと間抜けだけど頭は切れるブッチを演じたのは先日亡くなったポール・ニューマン。とにかくこの二人がかっこいいってただそんだけの映画と言えなくも…いや、違うぞ!何しろ本作のラストシーンは名シーンとの呼び声高く、むしろすでに伝説なのだぁー。
ところでこの二人の関係はルパン三世におけるルパンと次元に似ている気がするお。
おくりびと
所属していたオーケストラが入団するなり潰れてしまったチェロ奏者の大悟。妻と一緒に故郷へ戻り、そこで仕事を探すことにした。就職活動一日目であれよあれよのうちに決まった仕事は、詳しく話を聞いてみると「納棺師」。つまり死体を棺桶に収める仕事。最初はしりごみし、初めて触れる死体に吐いたり倒れたり目を回したりだったが、しかし次第に大悟はその仕事の持つ優しさ、美しさに気付き始める。
でましたアカデミー賞ノミネート作品!てことで再上映始まったので見てきました。が、当日は行ってみるとカウンターが激混みの大行列!すわこれがアカデミー賞効果か!?と思って上映スケジュールを見てみると、どうやら売り切れているのは「劇場版 炎神戦隊ゴーオンジャーVSゲキレンジャー 」と「20世紀少年 第二章」…良かった。と一息はつきながらも、何だか釈然としない気持ちを押さえて映画館行きました。
余裕でした。
うーん何で広末涼子なの?いつも同じ笑顔で能面みたいだった。
とか
チェロ弾くシーンが無駄に挿入されてすぎ
とか
何でいちいち劇中で弾く曲が久石譲なんだよ!クリスマスの日ぐらいきよしこの夜とか弾けっつーの。
とか
いろいろいろいろ思うことを総合するとやっぱりアカデミー賞は難しいんじゃないかって思う…
まあノミネートされただけでも快挙なのかね?よく知らないんだけど。あの枠。いつも真面目に見てないし。
なーんかところどころ もったいない映画でした。
良いシーンもたくさんあったんだけどなあ。
ふー。ということでご覧いただきました。
クロサワ特集と、さっき見終えた「2001年宇宙の旅」はまた今度…
(思いのほか疲れた)
あ、星つけるの忘れてたや。
ネットワーク ★★
明日に向って撃て! ★★★
おくりびと ★★