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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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あまり日常では感じない事なんだけど、今日は久しぶりに「ああ私日本人だわ」と感じた。日本人というか、「私はこの映画を作った人達と間違いなく同じ人種だなあ」とでもいうか。

明治40年、前人未踏と謳われた「劔岳」に挑んだ男達の話である。彼らの目的は地図を作ること。実際に山を上り距離・高度を測る為の点を記す為に、命をかけて劔岳に登ったのである。
で、撮影クルーも出演者も実際この劔岳に登って映画を撮ったというのがこの映画の売りで、それを聞いた時は別段山が好きでもなく登山経験も無い、というかあんなこと好んでする連中の気持ちが全く分からんと常日頃から思っている私は当然ながら「ふーん…まあ景色は綺麗なんじゃね?」程度の感想を抱くに終わったのだった。

まあ、いくら景色が綺麗でもさ~
どーせ淡々と山のぼんでしょ?
んで二度三度危ない目に遭ったりしてさー
んで結局色々あったけど登頂出来てさー
良かったなーみたいなさー
と思ってた。し、観るギリギリまで正直躊躇してた。で観ると決めた瞬間から軽く後悔してた(はえー)。


いやしかし!
とんでもないよ!
結果的に言うとかなり感動しましたよ!

んで感動の内訳には景色の美しさが予想よりも相当ずば抜けていたってのがまずある。とにかく壮大で、何てのか、四季さえも凌駕していた。麓には川が流れ花が咲き誇り、頭頂に近づくにつれ夏でも溶けない氷が視界を覆い、そして朝に夕に 唐突に登山者を襲うのが大雨、大雪、嵐のような突風に雪崩れである。
更に印象的なのが、美しさに比例するかのように厳しい自然という一面。風や雨はまるで主人公達をはたきおとそうとするかのように吹きすさび、降りかかるし、人間が些細な、非常に些細な兆候を見落とし、聞き落としただけでそれらは容易に彼らの命を奪おうとさえする。
悪意にも似た壮絶な厳かさが、「劔岳」という名に相応しく、無数の尖った剣の切っ先が寄せ集められて出来上がったかのような鋭い岩肌と相俟って登山者を拒む。
それに挑む人間の姿。
遥かな頂を目指す人びとの、小さな背中をカメラはロングで撮るんだけどもうその映像が!問答無用の迫力を持ってスクリーンを覆い尽くすのだ。いやー凄いほんと。

それと、もちろん映画なんで主人公たちの人生が登山の合間に描かれるのだが、それがあくまでも「添え物」なのである。いや添え物というか…あくまで控え目に描写されるに抑えられている。
その控え加減が、観ていてとても心地良い。
登山する仲間内で、特に派手な喧嘩や仲直りが描かれるわけではない。ひっそりとした不信感や不満が役者の表情に表れたり、簡素な謝罪と感謝の声があったりするだけ。それでも、クライマックスで主人公が登山の案内役に発する

「私達はもう仲間なんです。」

が全くわざとらしくない。それどころか、しみじみと泣けさえする。
登場人物達は、私達が日常で行うのと同じように知り合い、怒り、悲しみ、恐れ、そして理解しあう。
非常に日本人らしい体温の映画だ。宮崎あおいがどう見てもいらない事以外は文句なし!のオススメ!
 


原作もどうぞ。


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