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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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友達が観に行くっつーのでくっついて行って来た。
いやー。しかしほんとにイーストウッドの演じる頑固親爺は愛くるしいねえ。今回は特にそうかな。

コワルスキの隣に引っ越してきた家族は、ラオスやタイ、中国に暮らしているモン族の一家。彼らとのコミュニケーションには、今まで知らなかった種族の慣習やマナーがあって、それらをおっかなびっくり学びながらぎこちなく関わっていくコワルスキが何とも可愛い。
コミュニケーションってのは、元々はそういうもんだったんだなあと思う。新しい友達を作るにしろ、職場や学校に慣れていくにしろ、みんな最初はおっかなびっくりで、相手が何考えてるのかわからないまま少しずつ関係を作っていくものだし。お互い知らないことや分からないことがあって、そんなつもりもなく相手を怒らせたり困らせたりするのは当然のことで、その後いかに関係を修復するか、が 人間関係を築くってことだ。
それをコワルスキは、人生終盤に再び教えられたんだと思う。自分の孫くらいの年の、しかも異国の子等に。

それと、やはり思うのはグラン・トリノについてだ。

72年製のフォードが誇る名車であり、元整備工ウォルツ・コワルスキの宝物であり、かつて全盛を誇ったアメリカの、ひいてはデトロイトの象徴。
かつては自動車の整備工場で働く人間が沢山住んでいたデトロイトも、今ではその殆どが貧しいアジア系移民の住居となっている。その中にはギャングの真似事をしているような不良も少なくない。コワルスキはその事を嘆く。「イエローの米食い虫どもが、あいつらのおかげでここいらの治安は悪くなる一方だ!」

そんな彼に、アジア系移民の現状を教えるのが隣に越してきた家族の娘、スウだ。
「女の子は学校に行き、男の子は刑務所に行く。」
貧しさと、民族・コミュニティという檻に捕らわれて逃げられぬまま 不良の仲間入りを余儀なくされ、犯罪を犯す。スウの弟、タオも例外ではなかった。
タオは無理やり加わらされた不良グループに「入団テスト」を受けさせられる。
それは、隣に住んでいる白人――つまりコワルスキ――の「イカす車」を盗んでくるというもの。
そう。「グラン・トリノ」である。

もちろん、猛る老人コワルスキが 不良少年にやすやすと宝物を盗まれる筈はない。
タオは返り討ちに遭い、それがきっかけでコワルスキと友情を育む事になる。
コワルスキの指導の下、庭仕事や家、家具の修繕、そして男同志の会話の仕方、相手に舐められない方法を会得していく。一人前の、「アメリカの男」としての教育を施されるのだ。
そんなコワルスキもまた、タオによって、また姉のスウによって学んでいく。

そして物語の終焉、コワルスキはタオにグラン・トリノを託す。
つまりこの車は、皮肉にもコワルスキからタオに課せられた「テスト」の賞品でもあったのだ。
そしてタオはそれを手にした。コワルスキから学んだ全てと、Tシャツに押し戴いた勲章、それと彼の愛犬、デイジーとともに。


印象的なのは観終わった後の「ああー映画観たなあ!」という充実感。
世に映画は数あれど、これほどきちんと映画してる映画は意外と無いもんだ。
今やってる映画でお勧めは断然これだなあ。
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