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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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ああー
どっからだっけー


幻影師アイゼンハイム



幼い頃の恋人は身分違いの姫君で、
アイゼンハイムが中国に渡り一人前の幻影師になって戻ってきた頃
彼女は皇太子殿下のフィアンセとなっていた。
再び心を通わす二人だが、その事に気づいた皇太子は…

予想以上にものすごいベタな話だった。
うーん、何て言えば良いのか…普通。

かもめ食堂



フィンランドの地で食堂を営むサチエのもとに、ふらふらと現れるミドリとマサコ。
いつの間にやら、いつまでともなく 2人は食堂を手伝い始める。

名脇役・小林聡美を主人公に据えると、何処かサブカル臭いのを誇りとしているように見える映画が出来上がるので やっぱり小林聡美は脇役が良いと思う。
映画を見てる間中、猫が好きメンバーから室井滋ただ一人だけがハブかれてしまった理由、とか
フィンランドにあんな立派な店を出した割には洋服とか自転車とか買い物袋までいちいち可愛いし
部屋も広いしきれいだなー。この人よっぽど日本で貯金して行ったのかなー。とか
一か月店に客が来なくってもけろっとしてるってありえないなー。とか
気まぐれでシナモンロール焼いてあっさり客が来るなら最初っから焼けば良かったのに。とか
余計なことばっかり考えてしまったせいで全く癒されなかった。
あとチョイ役で「過去のない男」に出ていたフィンランドの名優 マルック・ペルトラが出てた。
アキ・カウリスマキの作品だとどうもそうは見えないけど、やっぱりこの人ちゃんとした俳優さんなのね…
それが再確認できただけでも満足。としておこう。

PARIS



心臓に病を抱えた、いつ死ぬとも知れぬ男が
毎日部屋の窓から眺めたパリの町並み。
そこに住む人たちの心模様、恋模様をつれづれに描く。

フランス人ってのはほんと死ぬ間際まで恋愛とセックスについてしか考えてねーんだなと思った。
これ観た前の日に「かもめ食堂」を観ていたんだけど、かもめはそこそこに若い女性3人が主人公なのに恋愛ネタが皆無だったのに比べて、こっちは出てくる人の8割がおっさんとおばさんなのに呆れるくらい恋愛の話しか出てこなかったのが印象的だった。これが日本人とフランス人の文化の違いか。
主人公の青年が「最後のクリスマスなのにセックスなしなんて」とぼやいているのを見かねて姉(ジュリエット・ビノシュ)が職場の同僚女性を紹介するんだけど、食事した後にベッドでものすごくぎこちなく抱き合う彼女と主人公の 気持ちがものっすごい噛み合ってない様子がありありと表現されてて笑えた。
ぎくしゃくすんならやめとけよ!そんなでもやっぱしないよりはましなのか?フランス人ってそうなのか?
うーん 興味深いなあ。たぶん日本人は途中でめんどくさくなってやめちゃうよね。

誰も守ってくれない



殺人を犯した少年の妹と、彼女を守る警察官が
世論やマスコミから追い詰められながらも
必死に生きようとする姿を描く社会派ドラマ

うーん…まあテレビ局主導でしかも監督が「あの」踊る大捜査線の人じゃあこんなとこだろうね。って感じ。
世論側の意見を代弁する人が一人くらいいても良かったと思うんだけど。
ていうかこの映画作ってる人はインターネットを魔法のランプとでも思ってんじゃないの?
あとインターネットを駆使して志田未来を追いつめてた黒幕の正体がちょっと安易だよ。
新聞記者の描かれ方も地味に酷かった。
フジテレビのやり方は露骨だな!

でも見てるうちに志田未来がなんか可愛く見えて来て困りました。
ふくふくのほっぺ触りたい。

ゾディアック



1968年から1974年の間に起こった未解決連続殺人事件「ゾディアック事件」を題材に、犯人に翻弄される警察や新聞社、そして果敢に犯人を独自の方法で捜査した漫画家の視点から描く。

やっぱり実在の事件を調理するのっていくらデビッド・フィンチャーでも難しいんだなー。と思いました。
ジェイク・ギレンホールが何考えてんだかわかんない新聞社の漫画家(イラストレーター、と言ったほうが良いのか)を好演してた。ロバート・ダウニーJrのムカつく新聞記者もすごいハマリ役。
劇中で警察主催の「ダーティー・ハリー」上映会が行われていたのは実際にあったことらしい。
「ダーティー・ハリー」に登場する魅力的な悪役、スコルピオは ゾディアック事件の犯人、ゾディアックをモデルにして作られた。
警察は殺人犯ゾディアックが非常に高い自己顕示欲を持っている事に着目し、自分自身がモデルになったスコルピオをその目で観るため(しかも警察主催の上映会に!)必ず現れる!と踏んで上映会を行ったとか。その際、アンケートボックスの中に刑事が入り、ゾディアックを捕まえる為に待機していたと言うんだが
この話が本当なのかウソなのか、良く分からないまま噂として聞いた。
でも警察主催の上映会自体は本当にあったんだと思う。じゃなければ劇中にあんなシーンは挟まないだろう。
しかし時々現実の人間は、作りごとよりも面白い事を企てるね。

警察や海軍がこぞって取り組んでも解けなかったゾディアックの残した暗号を、ニュースでそれを見ていた歴史学者の妻があっさり解いてしまったというエピソードも面白かった。

幻影師アイゼンハイム ☆☆
かもめ食堂 ☆☆
PARIS ☆☆
誰も守ってくれない ☆☆
ゾディアック ☆☆☆


ちょっと辛めに採点してみた。
ゾディアックは実在の事件をベースにしてる、という点でちょっと加算。
ちなみに今衛星第二で黒沢明特集をしていて、私はもれなくそれを観ているんだけど
黒沢映画はまた別の時にきちんと順位をつけて紹介したいと思います。
遅ればせながら、三船敏郎のかっこよさにメロメロ来ているところ…
次は「生きものの記録」を観たいなー!




「ダーティーハリー」のハリー・キャラハンは承太郎のモデルなんだぜ。
劇中に「何をするんだ」「ズボンを切るのさ それじゃ手当できないからな」「よせよ結構高かったんだ 脱ぐよ」「意外とけちだな」って会話が出て来た時は震えた。
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うーん持ち帰ってきた仕事もろくに手をつけないままこれを書くつもりじゃあなかったんだけどひと段落しないと集中もできなさそうなので仕方ない。先にやる。

「刺青の恋」は、4編の話で構成されている。1話『僕のカタギ君』の潟木、2話『ラナンキュラスの犬』の武藤、3話『狂い鮫とシンデレラ』の埜上と、全ての話に刺青を入れたヤクザが登場する。
その3話はそれぞれ独立した物語のようでありながら少しずつ人や時間が重なり合って出来ていて、それら全ての種明かし―結末と言うのか―を明らかにするのが第4話『みんなの唄』(書き下ろし)。
エピソードとして強いのは断然『ラナンキュラスの犬』だと個人的には思うんだが(まあ、これはかなりストーリーも設定もオーソドックスなお約束だからってのもあるが)あくまでメインは1話に出てきた潟木と恋人の久保田みたい。


阿仁谷ユイジという人を私が知ったのは、メジャーデビューする前に立ちあげてたサイトで漫画をアップしてて それを読んでいたから。
最近の絵描きさんでは珍しくないけども、この人の絵は「デジタル映え」というのだろうか、PCのブラウザで見るとその絵の魅力がぐんと増して見えるタイプの絵描きさんだと思う。
ただそういう絵は不思議と、紙媒体に乗っかって出てくると何となく迫力に欠けて見えたりするものだ。見た感じだと、デジタルの世界では紙原稿より多少ラフでも許されるみたい。(私だけかもしんないけど。)
絵自体もかなり独特だし、かなり好き嫌いが分かれるタイプの作家さんだろうなと思っていた。でも私はこの人の絵にあふれるシズル感というか、濡れた感じがどうも好きで、何となくちょくちょくサイトを見ていたら、メジャーデビューが決まったという流れ。あれやこれやで、現在は4冊程度出ているようだ。

私はこの人の作品の、いかにも同人な、あるいはいかにも無料で読める感じの、ごちゃっとしたジャンクっぽさ(ちっちゃい書き込みとか)が好きだったので、商売用に整えられた全く別物の漫画なら金出して読む気もあんまり無かった。といって、オンラインに載っていた頃と全く同じテンションで、全く同じ姿勢で描かれた単行本ならなおのこと読みたくなかった。それなら今まで通りオンラインで発表してりゃ良い事だからだ。
それが今回なぜこの人の漫画を買って、読んでみよう。と思ったかというと
ネット上での評判が上々だったのと、それがヤクザを扱った作品群だったから。


…私は「レザボア・ドッグス」や「ゴッド・ファーザー」のような、マフィア、ヤクザ、ギャングの持つ義侠的な絆にどうやら弱いようなのである。
…いや分かってるよこんなのはただのドリームであって実際のヤクザとかマフィアってのは人を殺したり脅したりするとても悪い人たちでそんな人らの間に絆なんてあんのかどうなのかわかんないし結局マンガや本や映画でかっこよく描かれてるってそれだけの話であって要するにただの絵空事であり
でも分かってても弱いのは事実なのでどうにもなるまい。てかこれこそが萌えか?
…ヤクザ萌えっていかにも平和ボケみたいで嫌だな。
でも私僕たま(「僕の地球を守って」)でも既に田村が好きだったんだよなあ。
もう仕方ないなこれは。
あと「ヤクザの坊(ぼん と読む)と教育係兼若頭」という間柄にも弱い。
何でって聞かれてもこれはもう遺伝子だ、としか。


あとこの漫画に出てくる 武藤、というキャラのビジュアルが好みだったというのもある。
まあこの武藤ってのがいかにも私の好きそうなゴツいコワモテのおっさんで。
ただこの人の絵柄ちょっと目が大きいので、武藤ももうちょっと糸目でも良かったなあなんて勝手に思ってる次第。


…んでまあ満を持して読んだんだけど。
うーーーーーーーーーーん 

以下でネタばれ。読む人はクリック禁止


  


ぐだぐだ言いつつお前どーせ買う気ねんだろ?何だかんだ言ってビーエル漫画を馬鹿にしたいだけなんだろ~ッ?みたいなエントリを金曜日に上げてましたが
今日ようやく買ったお!ビーエルだお!わあい!
これで漸く読んだものを評する事が出来るってもんです!
明日にでも詳しく書けたら良いなー。

買ったのはこれ↓です。



粘った粘った。本屋で45分。
で結局手ぶらなんだけど。
いやさーーー

今日はね。
ちょいとビーエル漫画っつのを買おうと思ってさ。
食わず嫌い良くないってか
なんつか、もういっそのこと!
腐れたら楽しそうかなと!
どうせ半腐れなら勢い良く腐ってみたいじゃない。
そう思いました。思いまして行きました。

本屋に行くこと。
それは思考の旅である。
これは今私が急遽でっち上げた先人の言葉です。

旅とは何であるか。旅とは彷徨であります。
ふらふらとさまよう魂の軌跡であります。
あてどはあれど、なくともやはり
魂というものは否応なく惑うものでありますから。
ですからいかなる旅も、彷徨なのであります。
心清める旅もあろう。
清めんとして、結果荒む旅もあろう。
であるならば
荒まんとし、清らかなるを得る
斯様な旅もやはりあるのです。
存じませんが、多分あるのです。

そして今
ボーイズラブ という名を冠し
世間のあらゆる冷たい目から逃げんとする



寧ろそれは、ボーイズラブという名を冠し
世間のあらゆる冷たい目から逃げんとしているという様相を呈する事で自らを生け贄とし
世の、何故だか分からないけども男同士の色恋性交にキュンとする迷える乙女達を守る盾とならんとする
そういった美しい犠牲精神(サクリファイス)ではないとは決して断言出来ぬ世の動きであるかもしれず
とにかくそういったウエットな事情を含んでいないとも限らない、とでも考えなければとてもじゃないが理解出来ないレベル(いわゆる単純な面白さつまらなさとは遥かかけはなれた場所にある判断基準)で作品が吟味されそして売り買いが成されているビーエル市場。そこにむんずと我が右腕を差し込みつ、あれか いやこれかと数多の
学ランとリーマンや
ケモミミや
女装攻や
軍服受や
土方コスプレや
お医者さんごっこや
漫画家と編集者や
右腕士官×独裁者や


そういった猛者どもを掻き分け、千切り、投げては斬る。
そして最後に辿り着く高み!
おお、そこにおわすのは究極の、不変の、おぞましいほどのいびつな愛!

敢えてみもふたもない言い方をするならそれは

至高のエロ本(女性向)

そんなものなら、私はそっと手を延べて
そっとレジに差し出し
そっと「カバーかけてください」と言い
そっと鞄に忍ばせよう。
そして本屋の自動ドアをくぐる私を
引き寄せるように風が吹いたなら
私はその風にこう言おう。

mon amour……



そして今
私は日比谷線に乗って帰路に着く途中
そんな私の鞄には

歌舞伎もの女形攻も
獣姦(擬人化皆無)も
触手使って痴漢プレイも
羞恥闇鍋プレイも
羞恥魚の目切除プレイも無い。

あるのは古川日出男「アラビアの夜の種族(2)」。
それと腐らんとして腐りきれぬ
荒まんとして荒みきれぬ
もちろん清らかなる事も許されぬ
あくまで中途半端なこゝろが一つ入っている。
それだけ。

そして今電車を降りた私をはねのけるように風が吹いたなら
私はその風にこう言おう。


von voyage……




しようかなと思ったけど読んだ本の何をどう語れば良いんだろう。
とりあえずこないだ読み終わったのを二冊ほど。

妖女サイベルの呼び声
(パトリシア・A・マキリップ ハヤカワ文庫)

ファンタジー界では超有名と聞いて。
ずっと読みたくて本屋を回ったのにびっくりする程置いてなかった本。世界幻想文学大賞第一回受賞作品だそうです。ちなみにこれを原作にして「陰陽師」の岡田玲子が「calling」という漫画を描いてるらしい。そっちはまだ未読ですが、うーん。らしすぎる。

とりあえず今までファンタジーと名のつくものからは極端に距離を取って生きて来た事をちょっと反省するくらいの作品であったことを言っておこう。面白かった。隙の無い世界観と、威厳を感じさせる文章。作者はこれを書いた時、若干25歳であったと聞いてこれまた驚愕した。白い髭をたくわえた爺さんが、本のタワーに囲まれて羊皮紙にインクで書いたんじゃないかと思わせるような重厚感を持つ物語だったからだ。

主人公のサイベルには、呼びたいものを自由に呼び寄せる事の出来る能力があった。それはその世界で魔術と呼ばれるもので、もちろん呼びやすい者もいれば呼びにくい者もいる。それは個々人(呼び寄せる事が出来るのは人間には限らないが)の持つ能力によりけりで、魔術に秀でた者を呼び寄せるには当然それなりの力が必要となる。で、サイベルは非常に優れた能力を持った魔術師であった。
サイベルの周囲には過去に呼び寄せた魔物たちが集っており、ともに生活を営んでいる。その魔物たちも、サイベルの能力を象徴するかのごとく 一筋縄では行かない、伝説を持った猛者たちばかりなのだが、この物語の凄いところは、それらの魔物がいかに恐ろしく、世に知られた魔物であるかを三行から四行で説明しており、なおかつその説明が簡潔でありながら説得力を持っているところである。
サイベルを尋ねてくるエルドウォルドの騎士、コーレンとの対話で、それらの伝説が明らかになる箇所があるのでそこを引用する。

コーレンは猪を見つめ、懸命に言葉を捜した。「サイリン」彼は呟いた。「サイリンだ。あなたのものになっているとは」彼は再び絶句した。荒い呼吸が開いたままの口から洩れる。彼は記憶の糸をたぐりたぐり、ゆっくりとしゃべった。「ランリールの領主――ロンダーが捕らえたのが――猪のサイリンだった――それまで――誰も捕らえたことのなかったサイリン――逃げ隠れの巧みなサイリン――謎の番人――ロンダーは、サイリンに、いのちを捨てるか、それともこの世の叡知のすべてを引き渡すかと迫った。するとサイリンは、ロンダーの足もとにあった岩を根こそぎにした。ロンダーは、そんなものには一文の値打ちもないといって、馬で去った。そしてなおもあきらめずに……」
「どうしてその話を知っているのです?」サイベルは驚いてたずねた。「エルドウォルドで起きた話ではないのに」


文中には、ランリールも、領主ロンダーも、全く何の説明もなく登場する。その伝説がいかに有名な話か、などにも 何の説明もなされない。ただサイベルの反応から、異国の騎士が知っているにしては古すぎる伝説であること、その古すぎる伝説を知っているコーレンが、物語での世界では特異な存在であることが分かるだけだ。

彼は、猫属の二頭が、館の向こうから、闇の中をゆるやかな足取りでこっちへ近づいてくるのを見守った。彼が唾を呑む音をサイベルは聞いた。タムローンが腕の中でもがいたが、コーレンは動かなかった。猫のモライアがやってきて、黒い、平らな頭をサイベルの掌に軽く押し付けた。それから彼女の足もとにごろりと寝そべって、磨きあげた宝石のような歯をコーレンに見せて、あんぐりとあくびをした。
「モライア………〈夜の貴婦人〉だ、魔術師タックに、彼が幽閉されていた扉のない塔を開く呪文を教えた……こっちの――ライオンは知らない――」黄金の滴りとも見まがう眼を持ったライオンのギュールスは、コーレンの足もとを一めぐりすると、つややかな毛並みの下にゆったりと筋肉を波打たせてコーレンの正面に蹲った。コーレンは、あわてて頭を振った。「いや待てよ――〈南の砂漠〉にライオンが一頭いたな。貴人の宮廷につぎつぎと住まいを移し、知恵をほどこし、贅沢な肉を糧とし、気の赴くままにその折々の貴族の紋章のついた首輪をつけ……ギュールスだ」


要するに、説明が殆ど無いのである。魔物たちに関する――またはそれ以外の事柄に関する伝説や物語が、「当然あるもの」のように不意に文中に登場し、そして終わる。読者たちにはそれ以外の情報が全く与えられないにも関わらず、それらが一定の説得力を持って読者たちに受け入れられる所以は、ディティールの細かさと気品を持った文章の故か。或いはこれらの寓話一つ一つが、非常に良く出来た神話のパスティーシュなのだ。

まあ 説明しすぎて失敗してる類のものは世に溢れてるし、いちいち指摘せずとも皆さん分かってるだろうから言わない。でもここらへん――要するに「説明を省く」ことによって逆に広がりを見せる芳醇な世界観、というのが この作品の魅力の一つである事は疑いようの無い事だ。一の沈黙が十の描写に勝るってのは、小説に限らずよくあることである。

それと、個人的に素晴らしいと思った一節があったので再び引用する。

「きみにとって必要な人はロックやセネスだ、ぼく以上にね。サイベル、ぼくはきみのやっていることがわからないんだ。きみの正体がわかったからといって、ぼくがきみのことを恐れるだろうか?愛さなくなるだろうか?」
「ええ」サイベルはささやくようにいった。「いまのあなたのように」
 コーレンはいきなりサイベルを掴み、揺さぶり、苛んだ。「そんなことがあるものか!愛とはいったいなんだと思っているんだ――大声をあげたり、打ったりするたびに驚いて心から飛び立つ小鳥のようなものだとでも思っているのか?


かっこいい!!大声をあげたり打ったりするたびに驚いて心から飛び立つ小鳥!!この表現!
もー理屈ぬきでキャーってなった。良いわあ…これ良いわあ…

まあ、そういった具合で。なかなか良い読書体験をしたので近所のファンタジスタ(ファンタジー好き)木登りヤギにこのことを話したらちょうど彼女は同じ作者の「ホアズブレスの竜追い人」についてのエントリを上梓している最中(やや脚色)だったということで二度びっくり。風力7を監視してたらそのうち何か書いてくれると思いますので 皆さんで日参いたしましょう。

あ、もう一冊あったんだけど、まあ次の機会に。
今読んでるのも何か、凄そうですよ。期待しつつ読み進めております。

 



 

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