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くしゃみしたらヘッドホンはずれた
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見てきました。
「未来を映した子どもたち」。原題は「Born into Brothels」(売春窟に生まれついて)。
この売春窟というのは、インドのコルカタにある巨大な売春宿の集合体のこと。
大きな、洞窟みたいな建物の中に無数の小さな部屋があって その中で売春婦とその家族が暮らしている。
彼女たち―売春婦たち―は、その小部屋の中で 客を取り、夫に食事を作り、老いたる母を養い、子どもたちを育てる。子どもたちは、売春窟の中で生まれ そこで大きくなるのだ。
当然、彼らは幼い頃から働かされる。客引きの娼婦と、女を買いに来た男たちが屯する細い路地や階段の合間をすり抜ける子どもたちは、洗濯物を抱えていたり、鍋を洗っていたり、水を汲むためのバケツを両手に持っていたり、あるいは幼い弟妹をおんぶしてたりする。自分の母を買った男に、茶や酒を出す事も彼らの仕事だ。

そしてやはり当然、売春窟で生まれた少女たちはやがて娼婦になる。娼婦になるものと、周囲の大人たちが自然に思い込んでいる。それ以外の生き方など無いかのように「いつ客をとるの?」と少女本人に聞くのだと言う。
もっとも、この場所では最初から 子どもたちに別の道など用意されてはいないのだ。彼らはろくに教育も受けていない。「売春窟の子どもだ」というだけで、どの学校も敬遠して彼らを受け入れようとはしない。

そこは最低にシュールな地獄だった。
ある少女の母は、仕事中に分厚いカーテンを引く。すると少女は弟と一緒に 屋上に行って凧を上げる。
このカーテンに 私は怒りを覚えた。ひいてはカーテンを引く母にも怒りを覚えた。だって少女は、既にカーテンの持つ意味を知ってしまっているのだ。カーテンの向こうで行われている事を 自分自身が、そう遠くないうちに同じ仕事をして生きていかねばならない事をとっくに理解しきってしまっているのだ。
今や、そのカーテンは 幼い子どもたちに「見ないふり」「知らないふり」を強要するものでしかない。


彼らの悲惨な境遇に目を向けるのは、イギリス人の女写真家 ザナ・ブリスキである。
彼女は子どもたちに写真の撮り方を教えていくうちに、彼らが素晴らしい才能の持ち主である事に気付く。
そして、何とか彼らを 彼らの才能を売春窟から解き放つための活動を始めるのだ。
この映画は、彼女の働きかけによってある少年が写真家団体から招待を受けてアムステルダムへ行き、またある少女たちが全寮制の学校に通う権利を手にするまでを描いている。
もちろん、全ての子どもたちが自由を手にするわけではない。
結局売春窟から逃れられず 娼婦として働いた少女もいれば
一旦学校に入学したものの、親に連れ戻された少年もいた。
自由を手にしたものと、手にし損ねたもの
その双方のコントラストを淡々と しかし色濃く描き出すモノローグには、やはり少なからず打ちのめされたのだが
鑑賞後に読んだパンフレットで町山智浩氏の文章を読み 最後の一文で心底ほっとした。
これから観に行く人は、是非パンフレットもあわせて購入することをお勧めする。
パンフ無しだと 凹んだまま帰らねばならなくなると思う。

しかし実は 心底私を打ちのめしたのは、持つ者と持たざる者の間にある決定的な差異である。
劇中、素晴らしい写真を撮る少年少女の中でも 特にその才能を評価される少年がいて、彼こそが前述のアムステルダムに行く少年なんだけども その子は一足飛びにコルカタの地獄から 本当に「ひょい」と抜け出すのだ。
そしてタクシーに乗って飛行機に乗ってアムステルダムの素晴らしいホテルに泊まり他の写真家の作品を見て刺激を受ける という、今まで繰り広げられてきた物語とは別世界としか言えない所にいる彼が映し出されてそれが彼の映画の中でのラストショットなんだけども
その一足飛び具合にショックを受けた、というか。
いかなる場所にある子らであっても、才能ある子ってのはいるのだ。というのがテーマのこの映画を見て 逆に
いかなる場所にある子らであっても、才能ある子と無い子ってのはやはり格段に違うのだ。という点に目が行ったわけである。

何か言葉にするとぴんと来ないんだけど、映画を観たらきっとわかってもらえると思う。そう信じてる。

とりあえずこの映画はみんな観るべきです。
皆さんが払ったチケット代の1%が
恵まれないインドの子どもたちを援助するお金になる

って安!!すくなっ!
1%って…
もうちょっとあげられないもんか?




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